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最新農業の現場へ=日系農協活性化セミナー(2)=きびしく病害虫予防=シルビオモレイラ=遺伝子組換え研究も

2月5日(木)

 サンパウロ州州政府が運営する「シルビオ・モレイラ」柑橘類農業ビジネス・最先端技術研究センターの試験場は一九二八年に創立された。十七人の研究者と二十五人の研修生が、病害虫対策、新品種開発、遺伝子組み換え製品の研究を行なう。三十ヘクタールの土地に、バイオ・テクノロジー研究所、果実調査研究所、物理学研究所、病気診療所、害虫診療所、苗木・種子販売所がある。
 カンピーナス市からおよそ北に百キロ、コルデイロ・ポリス市に試験所は位置する。同市は、二〇年代から三〇年代にかけて果実の一大生産地だった。しかし、四〇年代に病害により果樹がほぼ全滅、果実農場は北上した。
 「柑橘類栽培農家のかたは、軍隊を使ってもここ(苗木試験所)には入れさせない」と案内のジョゼ・ダ・ゴベルトさんは言い切る。「柑橘類栽培農家は、柑橘類に影響を及ぼす雑菌をもっている」のが理由だ。
 一行は、白衣に着替え、足の裏を消毒。入り口は二重になっており、虫が入らないように外側の扉を閉めたのを確認してから内側の扉を開ける。エア・シャワーや虫取りの薬剤もあるという念の入れようだ。
 ここでは、レモンの新芽を販売している。出来の良い枝を切り取り、それを別の鉢に移植し育てる。いわゆる”クローン技術”だ。六十センチほどの枝につく十から十五個の新芽を販売する。枝は五年持つが、五カ月ごとに一度は品質の確認をする。一つの芽がおよそ〇・〇二センターボ。
 塩谷哲夫所長(全国拓殖農業協同組合連合会のブラジル農業技術普及交流センター)によると「部屋内の空気圧を室外より高く設定すれば、内に空気が入ることなくもっと厳重になる」と指摘。また、「油虫が防げないという前提で、設備も作られている。日本だったら、油虫のついている芽があったらそれだけで問題になる」と厳しい。日本の現場を見ているものにとっては、不備も目立つ様子だった。
 一行は一泊し、綿花ファゼンデイロ、峰忠司さんの農場に向かった。
    (佐伯祐二記者)

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