ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 今年もまたカルナヴァルがやって来た。山本健吉氏の俳句歳時記によると「四旬節の前に行う遊楽祭」とあるけれども、楽しくもあり愉快なお祭りなのである。日本人移民も若くて威勢のいい人は勇敢にもサンバの行列に参加して踊り狂ったものだが、最近の世論調査によると「カルナヴァルが嫌い」と答えた人々が五七%もいるそうなので実は驚きびっくりしている▼こちらはテレビ放映で喜びを噛み締めているのだが、アニャンビーにあるサンバドロモもすっかり立派になって灰汁抜けし踊りも山車を飾る数々の彫刻も見事なものに変わっているのがいい。本場のリオにはまだ遠いにしても今の勢いで行けば、あと数年で追いつくかもしれない。市当局が力を入れ始めたしエスコーラ・デ・サンバの方も演出や踊りを工夫したりと頑張っている▼観光地としてのリオはブラジルの顔だしカルナヴァルでも一枚も二枚も上。そのリオは気温が四〇度もある熱気の中にサンバのリズムが響く。リオの観光局は北米や欧州で宣伝活動をしたりの工作が効いたのか昨年より十%も多い四十万人もが見物に来て呉れたらしい。先に話題になった世界最大の豪華客船クイーン・メリー号も寄港するそうだしホテルは満杯▼と、大満足はいいが、東北伯のパライバ州ではカルナヴァルの特別バスが湖に転落し乗客ら四十二人が死亡するという惨事があり人々を悲しませている。深刻な暮らしの苦しみをも忘れるカルナヴァルの踊りは大に結構ながら哀しみの話も忘れまい。(遯)

04/02/24

image_print