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コラム 樹海

 先頃、東京と埼玉、千葉県などで起きた暴力団抗争の殺人事件は粗暴国家・日本を物語るものであり恥ずかしい。暴力団の構成員は減少してはいるが、それでも五万人から六万人規模はいる。最近の傾向として山口組や住吉会、稲川会などの大組織の寡占化が進み神戸市に本拠を置く山口組系は二万人を超す組員を擁する。中でも傘下の山健組は七千人を誇る武闘派として知られる▼悪徳な金融業者である旧五菱会も山口組系の暴力団が関与しているが、不正に海外送金しただけでも六十億円以上という組織であり、利益は上の組織に上納していたとされる。暴力団も昔とは姿を変えて経済犯罪や企業暴力になり警察も捜査に手を焼いているらしいが、たった一日で東京や埼玉、千葉栃木で十一件もの襲撃を起こす事態を許してはなるまい▼この抗争は二十日に北海道で発生した飯島会の者による山健組幹部の刺殺に対する報復と見られるけれども、暴力団の勢力争いに巻き込まれる一般市民も多い。この事件とは関係ないとされるが、大阪や福岡でも暴力団の拳銃発砲があるし、取締りを強化するなどの対策に取り組むべきは言うを待たない▼東京の飯島会の事務所には警察の警戒が続いているけれども、こうした対立抗争とは無関係な市民の安全な暮らしをどう守るかである。神戸の山口組は近年、関東や東北、北海道にも勢力を延ばし抗争も増えているらしい。こうした不穏な動きにも目を向けながら暴力団対策をとる勇気を警察に望みたい。   (遯)

04/02/26

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