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コラム 樹海

  イラクに復興支援に出た自衛隊員たちが、留守家族とテレビ電話でも様子を伝え合える、という。いつものことながら、時代は変わったのだ、と実感させられる▼この辺の事情にくわしい若い同僚が小さい声で「(テレビ電話は通話料金が)ちょっと高い」と言った。料金などは問題でないのだ。いかに、隊員たちに安心して働いてもらうかが大事なのである▼時代が変わったと思ったのに加えて、驚きが一つあった。隊員たちの留守宅に、家事手伝いのため、駐屯地の自衛官を交代で派遣するという話である。男手(おとこで)がなくて困っていることもあろうから、という(日本政府の)親心とみた▼この話を(日本の新聞で)読んだとき、即座には意味がわからなかった。理解してから「平成の〃銃後の守り〃」を、去る四〇年代の初めとつい比較した▼ほとんど同時期に、米国のある州の州兵が召集される実状をテレビで観た。ブラジルでいえば州軍警にあたるであろう。州兵は自分の意志で登録後、毎月手当を受給しているので、召集がかかれば、イラクに行かなければならないということだった▼留守家族の特に妻たちの生活が映し出された。州政府側のアフターケアは、妻たちを集めての「心の持ち方」の講習会だった。だれかが手伝いに、などというのはなかった▼もしも、とブラジルに置き換えてみた。米国と同じだろうと想像できた。テレビ電話や家事手伝い、日本はブラジル在住者が想像できないように変わっていく。
        (神)

04/03/17

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