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自閉症児研修施設へ=ウルグアイ 草の根資金贈る

4月6日(火)

 去る三月十五日、モンテビデオ市にある日本大使館で、自閉症児集団自立研修センターに関する調印式が行われ、中村義博特命全権大使とウルグアイ自閉症児教育財団「希望」のマリアナ・デイゴ会長が署名した。調印式にはウ国外務省の経済協力局長や関係者が同席した。これによって、ウ国における草の根無償資金助成の第一号が実現した。
 助成金額は八万ドル。自閉症児教育を行っているモンテビデオ東学園の卒業生を対象に、集団方式による指導を通して彼等の自立をはかるために、「希望」財団が首都モンテビデオから約八十キロの地点にある丘陵地に自然林を確保した。自閉症児たちが自然環境を好むためと、安全を視野に入れた結果である。
 約十年間にわたりJICA専門家としてモンテビデオ東学園で生活療法に顕著な実績を残した三枝たか子教諭が、今年十月にはシニア専門家としてウ国に再赴任することがほぼ決まっている。
 「希望」財団会長のデイゴ女史は「いままでJICA(国際協力機構)のご支援を得て自閉症児の教育を行ってきましたが、今度の助成によって集団自立システムを作り上げ、近隣諸国にも役にたつような教育モデルを確立したい」とプロジェクトの目的を披歴した。
 中村大使は「この人道的案件が日ウ友好の一層の促進に寄与することを期待したい」と挨拶の中で強い希望を表明した。
 「希望」財団が二〇〇三年四月に刊行した『南米自閉症児教育に捧げた三枝たか子十年間の記録』の冒頭に、自閉症児教育に関する技術援助はJICAにおける教育技術援助の第一号、と記述されているように、日本の国際協力の中で非常に稀なケースとなっており、その第二段階ともいえる集団自立研修に草の根無償による助成が実現した意義は大きい、と注目されている。
 ブラジルでは、ウルグァイでの任期を終えて帰国する途次の三枝たか子教諭を迎えて、二〇〇三年十二月十八日にサンパウロで行った講演(本紙・〇三年十二月二十三日報道)が一つの呼び水となり、自閉症児を持つ日系父母らが中心となって、第一段階である生活療法を採用した本格的な自閉症児教育を始める機運が急速に浮上している。
【自閉症とは】 脳障害が原因で起こる発達障害の一つで、千人に一・五~二人の割合で発生するといわれている。日本では約二十四万人の自閉症児・者がいると推定されており、日本より人口の多いブラジルでは(自閉症児・者が)日本以上にいるに違いない。米国では、東京にある武蔵野東学園の姉妹校・ボストン東学園が北米の自閉症児教育を行っている。

 

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