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コラム 樹海

  邦字新聞に掲載される人探しの〃成功率〃は非常に高い。人のためになっている。特に依頼者には喜ばれている、と思われる▼日系人の人口は増えているが、日本語を読める人たちは先細りだ。したがって、人探しで探されている本人が新聞を読んでいるケースは少ない。新聞を読んだ誰かが、探されている人を知っていて、通知してくれるのである▼このことは、昔、耕地を転々としながらも、人々の付き合いが濃かったことを示してる。いわば、世間が狭かったのだ。知っているといっても、必ずしも関係がよかったとはいえない。それでも「あれは××さんの孫の嫁さんだ」などとよく事情に通じているのである▼一方、探される側についていえば、どうだろうか。人探しの理由の多くは(日本の)財産放棄をさせよう、というものだ。はっきり、それをことわって依頼してくるケースもある。名乗りをあげても、一レアルももらえない場合が多い▼尤も、探されている人は、移民してきた人の三世くらいだから、祖父の財産など知らない。財産を放棄せよ、といわれキョトンとするくらいだろう▼たまに、探されていることを知っていて、名乗りをあげないケースもある。戦後移住者の場合だ。過去、肉親との間でなにかあったとみていい。こういう人が人探し記事に応じてくれば、成功率はもっと上がる▼ともあれ、人探しは催し案内と同様、優先して扱うことにしている。新聞が持つ一つの使命「回覧板」としての役目を果たしたいからである。(神)

04/04/07

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