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老化に備え家をなおす=まず転倒事故に留意=食器の保管場所など工夫

5月1日(土)

 老化とともに視力や聴力が衰え、注意力、判断力が鈍くなる。事故から身を守るため、日本では住宅をリフォームする家庭も多い。ブラジルでも、一般市民の間で安全な環境づくりに対する認識が高まってきたようだ。
 藤野信儀さん(六六、東京都出身)は今、住居の新築か改築を考えている。ジュンジャイ市内の自宅は築二十八年を迎え、タッコが浮いてくるなど老朽化が目立ってきた。
 「いつまでも若いつもりでもいても、年をとると足を上げたつもりでも上がっていないこともあるでしょう」
 段差をできるだけ無くし転倒事故を防ぐのが、藤野さんの大きな希望だ。それとともに、車椅子でも余裕をもって通れるように、扉の幅を広げるつもり。
 娘が二人いるが、いずれとも同居をする考えはなく、いずれは、夫婦だけの生活になる。「老後に備えて、住み安い環境を整えたい」と話す。
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 「高齢者にとって、日常生活は危険がいっぱい」
 理学療法士の諸橋マユミ・タチアネさん(三世、二六)が四月二十八日午後、憩の園で実施された在宅介護の講習会で、一人芝居を披露。家庭内での事故について、説明した。
 もっとも危ないのが転倒。足を痛めて寝込み、そのまま寝たきりになるおそれがあるからだ。
 「最近、住居の改築についてちょくちょく相談があります」と諸橋さんは明かす。
 転倒事故の予防策は(1)家具にコロはつけない(2)よく使用する食器や器具を高い場所に保管しない(3)絨毯はなるべく避け、使うなら下にゴムを入れる(4)枕元には懐中電灯をおく──など。 手摺りは階段、トイレ、風呂につけ、高さは腰の高さ(床からおよそ八十センチ)が適当だという。
 ただ、日系福祉団体が住宅のリフォームについて、具体的な相談を受け付けられるような態勢が整っていなく、今後、建築家との協力関係の構築が望まれている。

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