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内紛から2年=和解遠のく=前会長が役員相手取り訴訟=請求棄却=控訴に踏み切る=福岡県人会

7月13日(水)

 県人会運営をきちんと行なっていたにも関わらず批判や妨害を受け、名誉を著しく損ねたとして、渡部一誠・前福岡県人会会長が県人会の顧問・相談役ら四人を相手取り、慰謝料を求めた訴訟の判決が一月、サンパウロ地裁であった。裁判長は「原告の申し立てには何ら根拠が認められない」とし、請求を棄却、五月の官報に判決が掲載された直後、原告側が控訴していたことが先月末になって明らかになった。二〇〇三年六月の提訴から既に二年以上が経過。和解は再び遠のいた格好だが、関係者は「会のイメージが悪くなるばかり」と懸念する一方、母県側も事態を憂慮し、一刻も早い解決を望んでいる。
 この内紛劇以来、〃喧〃人会とも揶揄されてきた同県人会。騒動に終止符が打たれるまでは、だが、しばらく時間が掛かりそうな雲行きだ。というのも、控訴審判決まで今後三、三年は掛かると予想されるからだ。
 渡部前会長の動きが不可解だ。
 訴訟問題に発展後、県議が調停のため来伯。これを受け訪日した渡部前会長は副知事や元県議会議長らとの懇談の席で、「円満和解の話し合いが進行し、裁判所の立会のもと解決する」「今季限りで会長職は辞任する」と言明していた。
 しかし、裁判を取り下げなかったばかりか、今年二月の役員改選で、現職の松尾治会長に敗れたものの、続投を狙って立候補している。言行不一致が目立つ。
 来社した被告側の脇田勅、中村勲の両顧問は「まったくデタラメの行動、ウソ、場当たり的発言ばかり。厚顔無恥な彼は信用できない」と非難、改めて怒りを露わにした。
 発端は、二〇〇二年まで二十四年間続いてきた母県からの農業実習生の受入れ事業休止をめぐり、対立したことにある。
 長い伝統のある事業だったこともあり、顧問・相談役は「何の相談せずに勝手に」。不信感を募らせた。執行部が独断で、治安上の問題を理由に休止願いとも受け取られる内容の文面を県側に送付したことが、きっかけとなったと判断。会長解任を求める臨時総会を計画した。渡部前会長はその対抗策として、訴訟を起こしたとみられる。
 県議を派遣してまで、臨時総会中止と裁判取り下げを要求した県側は、「受け入れなかった場合は県にたてついたとみなし何らかの処置をとる」と忠告。その後臨時総会は中止され、渡部前会長は任期を全うしたが、裁判だけは水面下で続行していた。さらに、一審での敗訴が決まっても原告はなお引き下がらず、今回の控訴に踏み切った。
 渡部前会長が会長を務めるブラジル太鼓協会関係者によると、六日からカナダに旅行中のため、訴訟継続についての見解は得られていない。サンパウロ大学解剖学教授の渡部前会長は、同地で開催されている学会に出席している模様。
 脇田顧問は「逆転判決はありえないだだろうと弁護士から言われている」としたうえで、「県側も移住家族会も、早く解決するよう伝えてきているが、ボールは原告側にあり、われわれ被告側としての選択肢は何一つない」と話している。
 県人会関係者の間からは「会のイメージダウンは計り知れない」と不満の声が上がっており、母県からの補助金が今年、前年比二十万円減の八十万円になったのも、お家騒動のせいとする見方が根強いようだ。

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