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コラム 樹海


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 さきにイラクで日本人男女三人がイラク人武装勢力の人質になったとき、日本国内でさまざまな反応、発言があった▼三人の家族は当初「(人質を解放してもらうために)自衛隊撤退を選択肢にいれてほしい」と発言、政府に懇願した。自衛隊撤退は武装勢力の人質解放条件だった▼すぐさま、非難の声があがった。「日本政府が退避勧告を出している国に勝手に行って、何を言うか。自衛隊派遣は、反対があったにしろ、最終的には国家としての決定だったのだ」と。肉親の情はわかるが、いい加減にしろ、というのが、非難した人たちの言う(人質たちの)自己責任だった▼立場が違えば発言も変わる。三人が解放されたとき、米政府高官が称賛した。「危険があっても崇高な目的のために自ら進んで行動する市民を誇りに思うべきだ」▼日本政府は、三人が解放されるまで、非難めいたことは一切コメントしなかった。政府は、邦人が外国で危険にさらされたとき、安全に保護する義務を負っている。今回は黙々と遂行したのだ。解放後、高官たちが、やんわりと遺憾の意を表した。解放までの間、下世話にいえば、腹の中が煮え繰り返る思いだったろう▼さて、われわれ移民も外国に出た。戦前移民も戦後移民も自分の意志が働いたが、政府にも奨励された。何かあれば、政府に保護される立場にあった。百年を経、保護された人はごくわずかだ。今では政府に忘れられたくらいである。手がかからない優等生?というべきか。(神) 

 04/05/05

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