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政治活動は硬直化の兆し=赤嶺氏,リオ会議所で時局講話=いぜん高金利なので=経済成長,容易に伸びず

5月22日(土)

 リオ日本商工会議所(八十住勲会頭)の月例昼食会が十三日正午から神谷武総領事、山本哲夫副会頭、鹿田明義リオ州日伯文化体育連盟理事長ら多数の出席を得て開かれ、各定例行事の後、サンパウロの赤嶺尚由ソールナセンテ人材銀行代表による現在の政治事情に関する講話が行われた。
 赤嶺代表は、先ずその中で、ルーラ政権の現状について触れ「発足当時、国のリスクとドルの暴騰を未然に防ぎ、インフレを阻止して国際信用を繋ぎ止め、経済の安定に見るべき成果を上げた現政権がここに来て、行政面での経験不足と組織や人材面での不整備、ビンゴ疑惑などを主な原因に、政府の活動がかなり停滞し、硬直化の兆しさえうかがえる」と語り、現在の問題点として、依然として高金利のまま推移しているため、経済成長が容易に実現できず、結果として雇用の促進が思うとおりに行かず、政権の目玉であるはずの貧困対策などの社会政策に見るべき成果が挙げられないことも指摘した。
 さらに、その後で「しかし、いくら仕事がなくて貧しくとも、夜学に通うまだ十六、七歳くらいの年端の行かない少年たちが仲間同士の黒い肌の色を表現するのに、くろんぼうとかサルとかゴリラなどと、みもふたもなくお互いを呼んでしまっては、仲間を傷つけてしまうから、ちょうど学校から家に向かって帰るその時刻の周囲の闇の色になぞらえて、<メイアノイテ>と柔らかい調子で呼び合う優しい気遣いやユーモア精神もまだ健在だ。こういうところに限りなく豊かな国民性というか、この国心の広さを感じて、思わずホッとする」と、話した。
 また、講話に続く質疑応答の部では、米有力紙の特派員がルーラ大統領の飲酒癖に関する報道記事を書いて大きな反響を呼んだ今回の事件を巡って盛んに意見の交換が行われたが、赤嶺代表は、「一般国民のおおらかさは、この事件の中にもよく見て取れる。有力伯字紙の投書欄を注意して見ていると、何を飲もうが食べようがそういうことで大統領を裁くな。何を国民のためにやっているかをもっと問え、といった点で、八〇%程度の国民の合意が纏まっているように感じた」と語った。
 また、その上で、六〇年に就任わずか八ヵ月後に突然の辞任を果たしたジャニオ大統領にも同じような飲酒癖があり、本人は周囲のなぜそんなに飲むのかという心配する声に「それが液体だから飲む。それがもし固いものだったらきっと食べる」という鋭い機転でもって答え、国民も何となく納得したというエピソードなども併せて紹介した。

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