ホーム | 日系社会ニュース | 「もう取り合いしなくていい」=Vグランデ日語校にピアニカ30台届く=奈良県の中学校寄贈

「もう取り合いしなくていい」=Vグランデ日語校にピアニカ30台届く=奈良県の中学校寄贈

5月22日(土)

 サンパウロ州ヴァルジェン・グランデ・パウリスタ日本語学校に十九日、奈良県月ヶ瀬村中学校より、鍵盤ハーモニカ・ピアニカ三十台が寄贈された。聖南西文化体育連盟コロニア・ピニャール日本語学校で日本語を指導している、JICAシニアボランティアの福井たかよさんの仲介で実現した。
 昨年八月、福井さんはヴァルジェン日語校を視察したとき、JICA青年ボランティアの浅野真紀さんが行なっている音楽授業には二台のピアニカしかなかった。ほとんどの生徒が演奏したがっているピアニカをなんとか寄贈したいと思いついた福井さんは、勤務していた月ヶ瀬村中学校の教頭に事情を説明。父兄会より使用済みの三十台を寄贈してもらった。
 福井さんは「昨年帰国した浅野先生との約束を果たせてほっとしている。こんな小さなことが、大変役立つとは思ってもみなかったし、皆のうれしい顔を見ているだけで、教師みょうりにつきます。なんかちょっとセンチになります」と喜んだ。 
 寄贈を受けた続橋真知子校長は「これで全員でピアニカが弾けます。三十台も貰って本当に有り難いです。やっぱり生徒の喜ぶ顔がうれしいし、張り合いにもなります。さっそく生徒達とお礼の手紙を書きます。それから今後も同中学と交流していきたい」と感謝した。
 ピアニカを手にしたフルカワ・ヒロミ・レシチアさん(一一)は「もう取り合いしないでいいし、いろんな曲を吹いてみたい」と目を輝かしていた。
 田村忠雄文協会長は「福井先生のお陰で三十台ものピアニカを寄贈してもらって、今日は素晴らしい一日になりました」と謝辞を述べた。
 福井さんはかつて、三重県の伊賀日本語会で十年間毎週一回、ボランティアとしてブラジル、アルゼンチン、ガーナやタンザニアなどから来ている外国人に日本語を教えていた。特にブラジル人が大半を占めた。
 「そこでブラジルへ移住した日本人の暮らしをもっと知りたいと。またブラジルから来ている子供たちの中には、日本語授業についていけなくて不登校になったりする子供もいたので、帰国後に少しでもブラジル人の役に立ちたい」と思い、シニアボランティアに応募したという。
 今回ピアニカを寄贈されたヴァルジェン・グランデ・パウリスタ日本語学校(ラポゾ・タヴァレス街道四五キロ地点)は幼稚園児から中学生まで二十七人の生徒が、月曜から木曜日まで日本語を勉強。金曜日は日本音楽、書道や日本料理などの日本文化教室があり、二十二人の生徒が学んでいる。同校の電話は11・4158・3660。

image_print