ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海


コラム 樹海

 日本のマスコミは伝統的に政府には厳しい。首相の再訪朝の結果についても批判が多い。横田めぐみさんら安否不明者十人の再調査や核問題などへの話し合いが期待されていたものとは遠いというのが、マスコミ批判の論拠である。確かに―この指摘の通りなのだけれども、今は拉致者家族五人が帰国し、曽我さんが夫・ジェンキンスさんと長女、次女の四人が第三国で再会できることを喜びたい▼安否不明者についての北朝鮮からの報告書は不審な点が余りに多すぎる。日本側はこれまでに百五十項目にわたる疑問点を北朝鮮に提出しているけれども、現在まで回答はない。墓地が流失したとか曖昧な調査結果ばかりであり、遺骨もないという不可解さなのである。唯一、欧州留学中に拉致された松木薫さんの遺骨が日本に提供されたけれども、DNA鑑定したところ、全くの別人と判明している。これらからも北朝鮮調査のいい加減さがわかる▼日本にいる家族らが、首相に不満の声を立てるのもよくわかる。だが、首脳会談で金正日総書記は「拉致は解決済み」の立場であったのを首相が強く主張し「白紙に戻り調査」の約束を取り付けたのは収穫と見たい。勿論、日時を限っての回答を求めなかったなどの落ち度はあるけれども、近く調査に関する協議を開きたいの動きもあるし、少しでも真実に近づくのではないか▼再訪朝の評価は支持と批判の二つだけれども、家族五人が帰国できたので拉致問題は解決に向けて一歩進んだと見ていい。  (遯)

 04/05/25

image_print