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「犬小屋に救われた」=日系歯科医 誘拐事件で九死に一生

6月15日(火)

 十二日に電撃誘拐された日系歯科医、エドゥアルド・アキチさん(三四)の「不幸中の幸い」話を十三日付アゴーラ紙が大きく取り上げている。
 それによると、十二日午前七時、サンパウロ市南部ジャルジン・ブラジリア区の診療所前で車ごと誘拐されたアキチさんは同ヴィラ・ナギベ区で犯人から常に銃口をつきつけられ、建設中の住宅に監禁。犯人は三人組で五時間かけて、アキチさんの口座やサイン済みの三枚の小切手交換を試みたが失敗に終わったという。
 監禁場の後方部が十メートルほどの崖になっており、犯人らはその腹いせに、飛び降りを命じた。アキチさんは犬小屋の上に落ち、軽症で済んだ。
 アキチさんは「犯人からの脅迫はなかったが、体が震えるぐらいに怖かった」と振り返る。最も緊張したのは、飛び降りを命じられたときで、死ぬ思いで飛び降りたが、幸い犬小屋の上に落ちたと語る。その後、犬がすぐに吠え住人が異変に気づいて、介抱してくれたという。
 アキチさんは、「インタビューに応じるにも億劫で、今はただ妻と九カ月の赤ん坊といたいだけ」とそれ以上は口をつぐんでいる。彼の兄弟リカルドさんも歯科医、その父ハルオさんは歯科技工士だった。リカルドさんはアゴーラ紙の取材に対し、「トラウマになっているので、そっとしてほしい」と、兄弟の肩を抱き締めていたという。
 

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