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「鍼」―奉仕=台湾人一世の彭さんー=ブラジル全国で6千人を目標に 口コミ、評判高まる=県人会館などに順番待つ列

8月20日(金)

  台湾系一世が、日系人相手にも鍼の奉仕──。鍼医師の彭文育さん(45)が毎週末、県人会や日系団体の施設を利用してボランティア活動に取り組んでいる。全身ではなく、二~三カ所のつぼだけを刺激するのが大きな特長。即効性があるという。口コミで評判が広がり、希望者が膨らんでいる。
 今月七日午前。広島文化センターの一室に、年配の人たちおよそ四十人が、ずらりと椅子を並べて順番を待っていた。この日が診察の初日だった。来場者数は関係者の予想を上回った。
 彭さんが列を回って一人ずつに問診、鍼を刺していく。通訳に介して事前に症状などが事前にカルタに書き込んであるので、治療はスムーズに進む。
 さらに、使用する鍼の数が少ないので、ベッドに横になる必要がない。それだけ、数多くの希望者を応対することが可能になる。
 「設備について注文が多い医師もいますが、彭さんの場合は、気軽にしてくださいますので安心して任せられます」と県人会関係者の表情も明るい。
 肩凝り、咳、リュウマチなど患者の悩みは様々だ。成人病や癌(がん)も扱う。「耳が遠かったけど、よく聞こえるようになりました」、「ひざの腫れがひきました」などと評判は上々のようだ。
 三カ月前に鳥取県人会会館で、日系人向けの奉仕をスタート。広島県人会、ブラジル老人クラブ連合会と活動の場を広げた。鳥取では当初、三十~四十人だった来診者が今は七十人に膨らんだ。老ク連では、今月十四日が初日だった。三十人近く集まり、好調な滑り出しをみせた。
 原則無料だ。いずれの団体でも来診者から有志を募って、謝礼をしている。
 彭さんは大学で東洋医学を専攻。自身で新たに、三百のつぼを発見したという。敬虔なキリスト教徒で、教えに従って慈善運動を展開している。
 ブラジル全国で六千人を応対するのが、目標。彭さんは「自分の技術が人助けにつながるのなら、惜しみなく差し出したい。広いブラジルを一人で、カバーするのは無理。多くの賛同者が現われることを期待したい」と話している。
 診察場所、時間、電話番号は次の通り。鳥取県人会(サウーデ区ドナ・セザリア・ファグンデス街323番、276・6032)=毎週日曜日。但し、行事があるときは休み、広島県人会(アクリマソン区タマンダレー街800番、3207・5476)=第一、三土曜日、老ク連(アクリマソン区ドトール・シケイラ・カンポス街134番、3209・5935)=第二、第四土曜日。時間はいずれも、午前八時三十分から正午まで。

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