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■ひとマチ点描■競歩から「共」歩へ

9月2日(木)

 戦前の日系作家はよく集い、聖美会、グルッポ・グアナバラと称し共同展を重ねて開いている。対照的に、戦後に来た作家は不思議と群れなかった。独立独歩で競いキャリアを形成してきたことが特徴だ。
 そんな戦後アーティストのみ8人が寄り合って久しぶりに新作を発表したのが、昨年9月の「渡る道」展(聖総領事館文化ホール)。戦後移民50周年記念企画で、戦後作家だけが集まって展覧するのは、60年代以来のことだった。
 これがきっかけとなり、8月1日から22日まで、マット・グロッソ州カンポ・グランデ市の画廊でも開催。近藤敏、若林和夫、金子謙一、廣田健一、越石幸子、楠野友繁、鈴木幸男、豊田豊が前回同様、近作を4、5点づつ発表し合い、好評を博した。
 豊田は「40年ぶりの復活。今後も同じようにやっていけたら」と話す。すでにポルト・アレグレ、ベロ・オリゾンテに巡回展覧する予定もある。
 ブラジルの日本人画家の技術と感性は卓抜しているものがあるとは、度々批評家から指摘されている通り。さらに、「美術の動きは海岸線に集中し内陸に行くことはあまりない。注目されました」と金子。地元メディアがこぞって取り上げ、市議会からは異例の感謝状も届いたそうだ。
 美術家として競い合い、独立心を支えに歩んできた戦後世代。70代を迎える作家が大半を占める今後は、一緒に「道を渡る」機会も増えるかもしれない。         (大)

 

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