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コラム 樹海

 大阪の池田小学校に侵入して包丁を振るい子供ら八人を殺害し十五人に重軽傷を負わせた事件を記憶する読者は多い。犯人は宅間守であり死刑の判決を受けていたが、十四日に刑が執行され話題になっている。大阪地裁が「死刑」の判決を言い渡したのが昨年八月。それから一年と少しの死刑執行に驚きの声が多いようだが、死刑の問題は難しくて重い▼罪を犯した者を死刑に処する歴史は古い。ギリシャやローマにもあったし古代の中国や洋の東西を問わずに行われた制度である。ところが、現代になると死刑廃止論が強まってブラジルを始め憲法や法律で死刑を廃止する国々が増えている。人が人を死に追いやるのは許せないという論であり、教育により悪から更生させるの「教育刑」の理論もある▼勿論、犯した罪を償うという死刑を肯定する考え方もある。所謂―「応報刑主義」と呼ばれるものであり、日本や中国を始めとしてアメリカなど多くの国々が、この死刑制度を認めている。刑罰は受刑者に対する見せしめ・懲罰のためとする学説であり、この説明を支持する人々も多いのである。宅間守・死刑囚の執行は早すぎるの議論もあるようながら、本人が「早く処刑して欲しい」と語っているのだし―法務大臣の死刑執行の「許可」は認めていい▼歴代の法務大臣は「死刑の執行を許可する」ことに臆病?になりすぎていた嫌いがあるが、後藤田正晴氏が法相に就任すると「許可」に署名・押印し、最近は死刑囚の刑執行が早まっているのは(議論はあろうが―)いい傾向ではあるまいか。   (遯)

04/09/16

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