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見直される県人会宿泊施設=日本人旅行者に人気=しかし、モラルが低い=国際電話かけてドロン=「歓迎しない」が増える

9月22日(水)

 県人会の多くは、奥地からサンパウロに出て学校や仕事に通う子弟に便宜を図る目的で、宿泊設備を持っている。採算をとるため、日本からの短・長期滞在者も受けているところも少なくない。リベルダーデ周辺では、光熱費込みで一カ月二百五十レアルが相場といったところだ。日本語が通じることから、旅行者の間でも県人会は人気が高いよう。地下鉄駅近くのブラジル山口県文化協会(平中信行会長)や在伯群馬県人会(高柳清会長)では今年に入って、満室状態が続いている。一方で、モラルが低いことなどを理由に旅行者があまり歓迎されていないことも事実だ。
 サンパウロ市ピラピチングイ街の山口県人会会館は築百五十年以上とも言われ、歴史遺産の域に入る。老朽化が著しい上にシロアリの被害が拡大。内部で、建て替えを求める声も出ている。
 宿泊用に十室用意してあるものの、昨年までほとんど利用者がいなかった。事務局は「まさに、閑古鳥が鳴いていました」と明かす。それが、今年に入って日本人旅行者からの問い合わせが急増。この半年間混雑がひどく、断ることもちょくちょくあるという。
 「昨年十月柔術の修行にきた青年に、帰国後インターネットなどで会館を紹介してほしいと頼んだ。どうやら、その反響が表われたようです」と、事務局は喜ぶ。地下鉄サンジョアキン駅から歩いて数分という立地条件が魅力のようだ。
 調理場が狭いため、コンロを室内に持ち込んで使用する人もいる。県人会は衛生・安全に配慮、洗濯場の横の一室を台所として改修することを検討中だ。
 愛知県人会会館(リベルダーデ区)は十数人を受け入れ可能だが、平均二~三人の長期滞在者しか入居していない。関係者は「地下鉄駅からそんなに、遠くないのにどうして?」と首をかしげる。
 周囲の治安が、必ずしも良いとは言えないためだとみられる。「夜間の外出には不安が大きい。もし何か起こったときは、大変ですから…」と、前述の関係者はもらす。現在裁判所の建物が近隣に建築中だ。竣工すれば治安が改善、集客力が増すと大きな期待がかかっている。
 「うちは、身元のしっかりした人しか入れません」。旅行者の宿泊に慎重な態度を見せるのは、広島県人会(大西博巳会長)だ。
 新会館の「広島文化センター」が昨年七月に、オープン。二十四時間態勢の警備をしていることが評判になり、間もなく日本から電話やメールで利用の申し込みが出始めた。広島県出身で第三者の紹介があるときなどに限って、部屋を提供することにした。
 それでも、問題が起きた。電話の使い方だ。当初、公衆電話を館内に設置する予定だったが、まだ実現出来ておらず、宿泊者は事務室からかけることになる。事務局は自己申告制を採用。使用するときには、ノートに氏名と時間を記入してもらうことにしている。実際に、申告する人は少ない。
 「旅行者は国際電話をかけるでしょう。請求書がきたときに、びっくりするんです。その時には、もちろん本人はいないわけですから…」と頭を痛める。群馬県人会も、人気の高い会館のひとつだ。以前に広島と同様の悩みを持ったことがあり、旅行者の滞在には消極的だ。
 旅行業界に詳しいある県人会の理事は「最近旅行者のモラルが落ちて、部屋を汚していくなどの苦情をよく聞きます」と、マナーの悪さを指摘している。

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