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コラム 樹海

 北京のアジア・サッカー杯での反日暴動を記憶している読者は多い。どうしてあんなにまでに―が偽らざるところだが、あの背景には江沢民氏の「愛国教育」―すなわち反日教育の影響が及んでいる。つまり、江沢民氏の教え子らが暴言を吐き散らしたと見ていい。その江沢民氏が共産党中央軍事委員会主席の座を辞任して胡錦濤・総書記に譲った▼軍事委主席は人民解放軍の兵士二百三十万人の総帥であり、政治への力はずば抜けて大きい。江沢民氏が党の定年規定に反してまで軍主席に拘り続けたのは軍部を後ろ盾にしての実力者を狙ったのではないか。だが、党の長老である万里や喬石氏らは連名で辞任を要求するなど反対派が一杯いるのも事実なのである。今の胡錦濤体制とは経済政策や治世の方針でも江派とは必ずしも一致してはいない▼共産主義青年団を基盤とする胡政権の「団派」と「上海派」と呼ばれる江沢民派との激しい確執が続いているらしいし、すべてが円満にとはいかないのではないか。経済政策にしても、温家宝首相は過熱化を防ごうとして引き締め策を取っているが、上海派は拡大路線を主張し抗争しているの情報もある。あの新型肺炎SARSでも情報隠蔽派の江派と防疫第一の胡派の対立もある▼しかも、中国には共産党幹部らの汚職と腐敗が広まり過ぎた危機もある。胡錦濤氏はやっと国家主席・総書記と軍主席の三つを持つ最高指導者になったが、沿岸の繁栄と農村の疲弊などの難問と取り組みながらの政治はとても「安易」とはいくまい。  (遯)

04/09/23

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