ホーム | 日系社会ニュース | 劇団「一九八〇」を会報で紹介=山形県人会佐藤千夜子に思い入れ=素劇「あゝ東京行進曲」来月、来伯公演へ

劇団「一九八〇」を会報で紹介=山形県人会佐藤千夜子に思い入れ=素劇「あゝ東京行進曲」来月、来伯公演へ

10月14日(木)

 [既報]山形県人会会報(九月発行)が、来る十一月から十二月にかけてブラジル公演する「劇団一九八〇」の「素劇 あゝ東京行進曲」について紹介している。劇が、山形県人で、新民謡(現在の歌謡曲)の女王といわれた佐藤千夜子の生涯に迫ったものだからだ。(本紙第三面で原作を連載中)。佐藤千夜子は山形県の南部の地方の訛り(なまり)があったから、それが生きて、新民謡歌手として成功したといわれるほどなので,在伯山形県人としても、思い入れが強いことがよくわかる。
 佐藤千夜子は、日本初のレコード歌手。昭和という時代を奔放に生きた。がんに侵され亡くなったのは一九六八年、七十一歳だった。歌謡曲歌手としてトップの座にあったのに、初志であったオペラ歌手での成功が忘れられず、イタリア留学。帰国したら、歌謡曲を歌う世の中ではなかった。戦時は戦地慰問、戦後は歌手ととして立てず、転々と職を変える。生活は困窮を極めた。
 「あゝ東京行進曲」は素劇。これは舞台美術や衣装・メイキャップに頼らず、何もない空間のなかで〃見立て〃を駆使した想像力豊かな表現様式だという。劇中の登場人物は百人以上、劇に盛り込まれた流行歌(歌謡曲)は五十曲余り。これを十数人の俳優たちが歌い、演じる。
 初演は九三年四月、東京浅草だった。風刺とユーモアの効いた演出(関矢幸雄演出)、実験的・先駆的な素劇様式が評価され、これまで数々の賞を受賞している。 
 ブラジルでの公演予定は、十一月六日マナウス、七日ベレン、十一日ブラジリア、十四日グァタパラ移住地、十七日サンパウロ、十九日イビウナ、二十一日サンパウロ、二十四日ミランドポリス弓場農場、二十七日リオ、十二月二日フォス・ド・イグアスー。

image_print