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成果、小農への営農指導=コチア農校、役割増大=農家の収入1年で4倍に

10月22日(金)

 サンパウロ州ジャカレイ市にあるコチア農業学校が、〇三年十月から近郊の小農家を対象に行ってきた無農薬栽培を基本とする営農指導―。ほぼ一年を経過し、成果が徐々に鮮明になってきた。 学校の助言を受けて結成された「小農家の会」で会計を担当しているダルジーさん(38)は「一年で収入が四倍になったよ。今は月収千五百レアルで、少しずつ増えているのが楽しい。畑は二千平方メートルだ。エスコーラ(コチア農学校)が野菜と花の苗木を安く提供してくれるので、計画的に栽培できるようになり、お客さんの注文に応じることができ、収入が増えている」と意欲満々だ。
 「小農家の会」(本紙・七月二十三日報道)の会員は十二名で、営農指導を学校の菅原エドワルド教官(二世、サンパウロ大学農学部卒)が中心となって行っている。この会を側面から支援している州立農業学校がジャカレイ市の中心部の近くにあるため、毎週月・水曜日の午前中、校門脇の広場を提供して、会員と学校にいる研修生が共同で野菜、鶏卵、苗木などの直売を行っている。これも定着して市民から喜ばれている。
 「当初は野菜の種類が少しだった。お客さんの要望を聞きながら、徐々に栽培の数を増やし、今では二十種類以上の野菜を毎週提供できるようになった。最近は市役所にも認められて、中央市場にも『小農家の会』の店舗を確保できるまでになった」と菅原教官が話す。熱意がこもっている。これも、健康にやさしい無農薬野菜に対する市民の理解と関心の深まりの結果だ。
 直売に参加している研修生は米州開発銀行(本部・ワシントン)の支援を受けて、オイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)が実施している農業後継者研修プロジェクトの参加者たちだ。その一人、セアラ-州のアイラさん(五期生)は「地元の大学では作るだけの勉強でしたが、ここでは、消費者の声を直接聞くことができ、貴重な体験よ」と喜んでいる。
 南米諸国研修生に対する校内指導と、近郊農家に対する校外指導を両立させているコチア農業学校の役割は、ますます重要度を増しつつある。

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