ホーム | 日系社会ニュース | ロンドリーナ市100周年記念事業=「トミ公園」建設具体化へ=日本情緒たっぷりと=来年6月をメドに=メインは移民顕彰碑=鳥居、噴水、のぼり、すずらん灯も―

ロンドリーナ市100周年記念事業=「トミ公園」建設具体化へ=日本情緒たっぷりと=来年6月をメドに=メインは移民顕彰碑=鳥居、噴水、のぼり、すずらん灯も―

ニッケイ新聞 2007年12月6日付け

 【既報関連】パラナ州の移民百年祭ロンドリーナ祭典委員会(吉井篤委員長)は、昨年十月に死去した最後の笠戸丸移民、中川トミさんの名を冠した広場(Praca da Imigracao Japonesa-TOMI NAKAGAW)の建設案を具体化している。市提供の同市内セントロの土地に日本風の広場をつくるもので、メイン建造物となるのは造形作家・豊田豊氏による高さ二十二メートルの移民顕彰碑。広場とあわせて来年六月の完成を目指す。先月三十日、同市内で開かれた同委員会の第六回定期総会で、吉井委員長が詳細を明らかにした。
 同顕彰碑は、笠戸丸の船頭をかたどった二等辺三角形の土台の上に、高さ二十二メートルのモニュメントを建てる設計。モニュメントの両側面には十の波を象ったデザインを施し、その波一つひとつが十年の日系社会の歩みを表現する。
 この土台部分には富士山の裾野から取り寄せて花崗岩を置く予定。吉井委員長は「この石が日本人の心を象する」と強調する。モニュメント部分は鉄筋とステンレスでつくられる。
 円形の池に囲まれたモニュメントの背後にはコンクリート製の壁を並べ、その一部に同市に入植した初期移民の名を記したプラッカを張り付けるという。対象となるのは、一九三〇年から四〇年にかけてこの地に入植した日系家族の世帯主、約二百人。現在該当者の洗い出しをすすめている。
 また顕彰碑の周りの池をかすめるように橋をイメージした遊歩道が公園の対辺まで敷かれ、野点ができる吹き抜けの茶室につながる。「この場所ではさまざまな用途に対応できるスペースにしたい」という。
 さらにこの前のイベント広場に舞台を用意する。太鼓やダンスなどの各種イベントの発表の場にする計画で、広場全体で約四千人の観客を収容できる計算だ。
 このほか、足のつぼを刺激する健康療法、「反射療法」が楽しめる円形の散歩道も公園の一角に設置。公園中央には噴水を置き、広場正面入り口には大きい赤い鳥居を建てる。さらに顕彰碑近くの公園入り口にも三つの鳥居を並べる計画だ。
 中川トミ広場の広さは約一万平米。広場には黄イッペー、桜、松、竹を植える。また公園内の一角にはイベント内容を案内する日本風ののぼりを並べ、公園の外周にもすずらん灯を設置する。その灯の下にも案内の垂れ幕を下げられるようにするという徹底ぶりだ。
 「トミ広場の建設はわれわれの事業のなかで最も大事」と吉井委員長は力を込める。広場の施工会社は現在入札中で、関係者は「今月にも担当を決められたら」と話している。

image_print