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海外日系人大会代表者会議=母国と連携強化求め

10月29日(金)

 【既報関連、東京支社】 第四十五回海外日系人大会の代表者会議が二十八日午前九時半から、東京・市谷の国際協力総合研修所で開かれ、熱心な討議が午後四時まで続いた。この大会の宣言と決議、さらに政府に対する要望を掲載する。
 【宣言】私たち海外各地の日系人の代表・有志は平成十六年十月二十七、二十八日の両日、東京で第四十五回海外日系人大会を開き、「日系社会と母国日本の連携強化を求めて」の総合テーマのもとに、(一)日本語教育、人材育成、日本政府の経済・技術協力事業との連携(二)在日日系就労者(三)国際日系ネットの構築(四)在外選挙 (五)その他(被爆者問題など)の五テーマについて討議。以下の四項目を決議し、四項目の日本政府並びに関係諸機関への要望を取りまとめたことを大会の名で宣言します。
 【決議】
(一)日本語教育推進・日本政府の経済・技術協力事業への全面協力
 明治時代から今日まで、私たち移住者の二世、三世、さらには四世に対し、日本語教育の環境を維持しながら、日系社会の維持・発展、日本との交流には、日本語教育は非常に重要であり、今後も母国日本と連携をとりながら継承日本語教育を強力に推進する。
 これに関連して、日本語教育を含む移住者子弟の人材育成、高齢者対策などを重点とする日本政府の経済・技術協力事業、なかんずく日系研修員の受け入れ、青年・シニア・ボランティア、また日系第三国専門家の派遣に、私たち海外社会は、パートナーとして全面的に協力する。
(二) 日系就労者問題の解決への努力
 日系就労者の雇用、福祉、教育などの諸問題について、私たちは、現在も行っている情報の収集、来日前の日系人に対する事前教育をさらに質・量ともに拡充・強化して、改正された労働者派遣法によって悪質な仲介業者の排除などして問題解決に努力する。しかし、これらは日本政府、日本社会の協力支援が欠かせない。十月五日に発表された外務大臣の諮問機関「海外交流審議会」の答申にも日系人たち「ニューカマ―」の雇用、子弟の就学などの問題解決の重要性が指摘されている。
(三)「国際日系ネット」構築の推進
 海外日系人協会を中心に、海外各地の日系社会をインターネットで結ぶグローバルな情報ネットワーク、「国際日系ネット」の構築を目指す「国際日系ネット協議会」の設立に賛同するとともに、同ネットの構築を推進する。私たち日系人の声が母国日本に繋がり、海外日系社会と日本、そして各地の日系社会同士が相互にコミュニケーションでき、パートナーとして、その絆をますます強固にする体制を築く。
(四) 在外選挙への参加運動の強化
 四度目の在外選挙となった本月七月の参議院選挙は、海外在住者の立候補もあり、マスコミにも多く取り上げられた。しかしながら、海外在住有権者の選挙人名簿への登録率、投票率は依然として低く、私たちの極めて遺憾。このため私たちは、有権者の登録、投票参加に従来にも増して力を入れる所存であり、制度の簡素化、選挙区選挙への投票、海外選挙区の実現に向け、さらなる運動を強力に続ける。
【要望】
(一)ブラジル移住百周祭
 二〇〇八年のブラジル移住百周年の重要性を認識し、協力・支援を求める。
(二)海外日系人訪日団受け入れ事業
 本年度をもって中止となった海外日系人訪日団受け入れ事業の何らかの形での存続を望む。
(三)日本語教育
 日本語教育の推進に当たっては、日本政府、関係諸機関、特に日本の企業、大学の協力支援を求めてやまない。
(四)在外被爆者への支援
 在外被爆者への被爆者援護法を違法と断じた画期的な平成十三(二〇〇一)年六月一日の大阪地裁判決、同十四(二〇〇二)年十二月五日の大阪高裁判決に基づく在外被爆者への健康管理手当てなどの支給を定めた厚生労働省の「在外被爆者保健医療助成事業」の一日も早い実施を望むとともに、在外被爆者が来日することなく、在外のまま援護法の適用認定の申請を可能とする平成十六(二〇〇四)年九月二十八日の長崎地裁の判決の速やかな実現を要望する。

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