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日本移民のふるさと=水郷レジストロを行く(1)=佐々木農園「暑さ」活かして=観賞用椰子売り出す

11月5日(金)

 「第五十回レジストロ灯篭流し」に参加すべく、リベルダーデ歩こう友の会会員ら九十四名がバス二台に乗り込んでレジストロを訪れた。佐々木農園、カベルナ・ド・ジアーボ(鍾乳洞)、移民資料館、レジストロ日伯文化協会を見学し、五千人以上の人出で賑わう会場へ。暗闇の中、リベイラ川の川面を千六百個の灯篭が流れる幻想的な風景を眺め、和太鼓や盆踊り、レジストロ名物マンジューバなどを堪能した。

 十一月二日午前六時前。リベルダーデ広場の一角で日系人のお年寄りがバスを待つ。午前六時、といっても今日から夏時間。いつもの感覚でいえば午前五時でまだまだ広場は薄暗いが、小笠原さん夫妻のさわやかな挨拶が気持ちいい。
 到着した二台のバスに乗り込んで、リベルダーデ歩こう友の会(高木ラウル会長)一行九十四名は、お盆の名物行事「第五十回レジストロ灯篭流し」を目指して出発した。
 途中三十分間の休憩を取りながら、最初の目的地である「佐々木農園」へ。今年で五十年目を迎える同農園は、九十七ヘクタールの土地で三十種類の椰子やシダ類などの観葉植物、ビタミンCを多く含むトロピカル・フルーツ「カムカム」などを栽培している。
 主人の佐々木悟さん(64)に案内されて農園内を見学。雨上りでぬかるんだ道を歩いていると、靴にジワジワと水がしみてくるのがわかる。
 「レジストロは〃アマゾン・ド・サンパウロ〃と言われるほど、暑さに申し分ないんです。ただ、寒さがちょっと難点ですね」。
 観賞用として売り出している椰子は、種類にもよるが、大きければ大きいほど値が張る。一行が見て回ったのは、盗難対策として価値の低い種類を植えている場所だというが、それでも十分に迫力のある木々が並ぶ。
 ただ、参加者の想像する椰子園とはちょっと違っていた様子。「〃椰子〃と聞いていたからコッコが一杯なってるのかとばっかり・・・。アーグア・ジ・コッコを買うつもりでお金を持ってきたんだけど」。
 カムカムの栽培は八年前から始めた。新聞やテレビで取り上げられているのを見たのがきっかけだ。ジャブチカバに似た直径十から三十二ミリの球形の実が一年に二回できる。ミカンの七十五倍、アセロラのおよそ二倍、二千八百ミリグラム(百グラム中)のビタミンCを含んでいるという。
 佐々木農園には現在約三千本が植わっているそうだが、あいにく時期はずれで実際に果実を目にすることはできなかった。今年はなり過ぎで小さな実ばかりだったそう。
 「そのまま食べれるの?」との質問に、「いや~、かなり酸っぱいですよ。スッコなんかにしますね」と、佐々木さん。「苗を分けてもらえないかしら」と交渉を重ねている人もいた。
 三十分ほどの見学だったが、むし暑い気候の中を歩き回ったため、額から汗が流れた。 つづく
                                                      (大国美加記者)

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