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「きれい」「おもちゃみたい」=日本の新紙幣の評判=知名度高い野口英世=ブラジルに来ているので=記念品として?重宝

12月1日(水)

 「やっぱり日本のはきれいね~」。「偽物?おもちゃみたいに見える」――。二十年ぶりにデザインを一新した千円、五千円、一万円の新紙幣(日本銀行券)が、十一月一日、日本で発行を開始した。新札の肖像は、千円札が野口英世、五千円札が樋口一葉、一万円札は前回のまま福沢諭吉。新しいお札を手にした感想を聞いてみた。
 やはり注目は自然と紙幣の顔・肖像に集まる。
 新千円札を目にするなり、「野口英世はお医者さんでね。カンピーナスにも胸像があるはず・・・」と説明を始めたのは、元教師の女性。世界各地で活躍した野口は、黄熱病の研究のためブラジルにも足を運んでおり、「野口博士記念公園(カンピーナス)」や「ノグチ通り(リオデジャネイロ)」の足跡を残す著名人だ。
 「夏目漱石の時と色や雰囲気が似ていて使いやすそう」。千円札は、児童を含め国民が手にする機会が最も多いことから、国民に馴染み深く、世界的にも知名度の高い野口が採用されたというが、まさに狙いどおり。
 対照的に、「(橋田寿嘉子ドラマの)おしんかと思った。おしんの方が国際人でしょ」と神戸めぐみさん(41)を驚かせたのが、明治時代の小説家・樋口一葉。生誕地の山梨県ではキャンペーンも行なわれ、発行が心待ちにされていたという新五千円札だが、残念ながら知名度は低め。
 女性の社会進出を背景に、戦後初めて紙幣の表面に女性が登場した。畑野ふきさん(80)は、「女の人がお札に載ってるのは女が認められている証拠。大いに良いことです」と喜んでいる。
 しかし、小谷野奈美子さん(24)をはじめ「なんで樋口一葉なの?」と首を傾げる人も多く、「単に女性を載せたかっただけなんじゃ・・・」といった感想も無視できない。
 「比較的新しい時代の、しかも作家が多いのはなんで?」との疑問も多かった。従来は政治家が中心だったが、文化立国を目指す日本のイメージを高める目的もあって、前回から文化人を採用しているという。また、精巧な肖像を描くことが可能かどうかとの観点から、明治以降に活躍した人物が選ばれるようだ。
 「これまでのお札は使えなくなるの?」と尋ねる人も多いが、心配は無用。これまでに発行された十九種類の紙幣全てが現在も使用できる。
 「NHKで見たから知っていた」と、新紙幣を見てもあまり珍しがらない年配者たち。「孫にNOVOを配ってあげた。もう手元には無いけどね」。さすが、新しいものに敏感だ。中には「家族がクリスマスプレゼントと一緒に送ってくれる」という人もおり、日系コロニアでは今後しばらく、一種の記念品として重宝されそうだ。

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