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コラム 樹海

 中国の温首相が「日本からのODAはいりません」と小泉首相に語ったそうだ。もし―この話が本当ならば、大いに喜びたい。尤も温首相は「日本からのODAは戦後賠償の意味も持ち合わせていた」と、余計な付け足しをしたらしいが、とにかく日本は中国に対して甘すぎたのは否定できない。大手新聞の記者や評論家などからも「廃止」の声は高いし、近ごろは政治家からも見直し論が上がっている▼日本にはあの戦争を振り返って中国に大きな被害を与えたこともあり心の中に「贖罪」の気持ちが残っている。こうした背景もあってできるだけの応援をしようの発想から始まったのが0DAと見ていい。しかし、中国はもう世界的な経済大国になっているし、有人衛星を打ち上げたり原子力潜水艦で日本の領海を侵犯するなどの軍事大国に成長している▼経済の進展は目覚ましい。昨年の成長率は9%だったし、この十年間はほぼ8%の伸びを見せているのだから工業や技術的な発展は凄い。石油の需要量は、アメリカに次いで世界2位になっており、日本の使用量よりも多いのである。勿論、上海などの沿岸部の恐るべき繁栄と農村地域の停滞と貧困という難しい問題を抱えてはいる。こうした課題を背負いながらも、中国は既に先進国入りを果たしている▼このた現実を直視すれば、もうODAは卒業してもいいの議論が持ち上がるのは自然の流れと言うものである。中国は他の途上国にODAを供与するまでになったのだし、この「廃止論」はきちんと交渉の場に提示し論議を進めるべきだ。(遯) 

04/12/7

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