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卒業記念の植林=コチア農校で南米農業研修生ら

12月14日(火)

 去る十日、サンパウロ州ジャカレイ市にあるコチア農業学校で、南米諸国の研修生たちが卒業記念の植林を行い、百三十本の苗木を学校所有の林地に植えた。植林に参加したのは、翌十一日に卒業を控えたペルー、ボリビア、パラグァイ、ブラジルの第五期研修生二十三名と、卒業式に参列するために来伯したボリビアとパラグァイ研修生の父兄らだ。
 当日は、第六期生たちが朝六時半から植林予定地で雑草刈り、植穴堀り、堆肥や石灰運びなどの準備を行い、先輩研修生を待った。苗木は、経団連自然保護基金(本部・東京)の助成で学校内に建設されている育苗センターで育てられたもので、研修生たちにとっては自前の苗木だ。
 午前九時から三時間で植え終わった。第二期から四期までの研修生たちも植林をして卒業をしている。一期生たちが卒業記念に植えたのは柿で、一部がすでに実をつけている。十日に植えられた苗木はジャトバ、ピメンタ・ローザ、パラナ松、イペー、カランボーラ、アロエラ・サウサなど十一種類、用材となるもの、花を咲かせるもの、食用の実をつけるもの、を混植した。
 コチア農学校は五十数ヘクタールの敷地を有しており、林地面積もかなりあるため、すでにリベルダーデ歩こう友の会(細川晃央代表)とアレグレ・ビリグイ郷土の会(酒井清一会長)の会員、ジャカレイ市内の小学校や保育園の児童生徒らも植林をしており、環境教育の一環として研修生たちが管理を行ってきている。
 学校関係者によると、自分が植えた木が育つのを見にくる人々が毎年増えているようだ。今回の植林に参加した、ボリビア研修生の父親・アンジェロ・コラ・マリーノさん(五十歳)は「長女が成長して卒業するのを見るために、妻と次女を連れてきた。植林にも参加できるとは思わなかったが、木はいのちだ。今日は植林のモデルを体験したので、ボリビアでも実施できるようにしたいよ」と息を弾ませながらも、喜びを表していた。
 研修生は米州開発銀行(本部・ワシントン)の支援を得て、オイスカ・ブラジル総局(高木ラウル会長)が実施している農業後継者研修プロジェクトの参加者たちで、卒業生の中には日本での実技研修の候補者たちが含まれている。なお、コチア農学校では農産物だけでなく、野菜や果物の苗木、植林用や観賞花の苗木なども希望者に提供して喜ばれている。有料だが割安なので購入者が増えているようだ。

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