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岩手県人会=〃殿様〃が名誉総裁に=賛助会員制度に弾みつく=朗報を「南部美人」で祝う

12月15日(水)

 〃殿様〃が県人会の名誉総裁に――。世が世なら青森県と岩手県にまたがる広大な領土を統治する血筋である旧南部藩第四十五代当主、南部利昭氏が岩手県人会の名誉総裁への就任を内諾したことが、十二日の同県人会主催、忘年会を兼ねた第二十七回高齢者懇親誕生会で報告され、百人以上集まった会員からは驚きを持って歓迎された。千田曠暁会長は、「快く承諾して頂いた。これでさらに、母県での賛助会員集めに弾みがつくのでは」と期待をしている。

 南部氏を名誉総裁に、という話は県人会発足以来の〃夢〃。「このような申し出自体がはなはだ厚顔ではないか」と役員らは長い間ためらっていたという。
 このほど靖国神社宮司に選ばれ、十月に秋季例大祭を仕切った南部氏の宮司就任祝いに、菊池義治前県人会長が招待されていたことから、「思い切って」依頼することになり、その場で快く内諾を得た。
 県人会では近日中に手紙を送り、名誉総裁就任に関する正式な要請をする予定。南部氏はロータリクラブ国際会議出席のため、すでに二回来伯しており、その都度、県人会との親交も深めいている。県人会創立四十周年には、ふるさとの岩手山を描いた絵画を寄贈。以来、会館ホールに掲げられ、「守護神のごとく会員を見守っている」という。
 南部氏就任により、母県における県人会の知名度があがり、今年から始められた賛助会員制度に拍車がかかるのではと期待されている。
 同県人会独自の制度、賛助会員には既に約四十人が加入。母県在住のブラジル関係者、国際交流に興味がある人や企業などに入会し年会費を払ってもらい、運営に協力してもらうもの。千田会長は「母県とのつながりを考える上で重要な制度。一年目でこれだけ集まったことは大変心強い」と喜ぶ。
 当日は盛岡市在住の賛助会員で老人ホーム、社会福祉法人「土淵朗親会」理事の藤村勝巳氏も参加。十一月二十六日に来伯。叔父である県人会副会長、藤村光夫氏と共にアマゾン川下り旅行をするなど、「ブラジルは大国だと思った」との感想を述べた。
 賛助会員制度に賛同し、「日本に帰ってから賛助会員をたくさん集めたい。日系社会が二世、三世に世代交代しているのと同様、日本も若い世代に交代している。この制度を活用して、若い世代が行き来するようになれば、お互いに大変有意義だと思う」と藤村氏は語った。
 午前十一時半から忘年会誕生会が行われ、佐川ガブリエル医師による心臓病に関する講演と質疑応答が約一時間、熱心に行われた。その後、一品持ち寄りの品と、婦人部が用意した美味しい「カニの潮汁」が振舞われた。また、一升瓶四本あったふるさとの銘酒「南部美人」もたちどころになくなり、試飲した会員らは「フルーティな味わい、少し甘口で飲みやすい」と口々に賞賛し、名誉総裁就任の朗報を美酒で祝った。

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