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「国境越え武者修行」=山形県日伯交流に新機軸

12月17日(金)

 どこの県人会も、県費留学生研修生が年々削られる厳しい情勢の中、山形県人会(荒木克弥会長)は九日、母県が今年から始めた「国境越えて武者修行事業」五人の研修生を迎えた。十日と十一日の両日、県人会館でオリエンテーションやコロニアの著名人の集中講義を行なった後、同県出身の農場で一カ月から三ヵ月の研修を行なう。
 この研修制度は昨年、ブラジル山形県人会創立五十周年記念で県知事一行が来伯した時に、将来を担う青年同士の交流を目的に、交互に青年を派遣する実習体験型研修事業として始まった。来年はブラジルから研修生を母県に派遣する。
 集中講義はサンパウロ人文科学研究書所の宮尾進顧問、雑誌『のうそん』の永田久主幹や、彫刻家の豊田豊さんなどが講師を務めた。その後、県人会の青年部の二世らが研修生を市内観光などに案内し、青年同士の交流を深めた。
 荒木会長は「我々は毎年県費留学や研修生を母県に送っているが、それとは別の二、三ヵ月の短期研修。双方の青年たちが異文化に触れ、国際感覚を磨いて両国の将来の掛け橋になってくれれば、それで十分です」と述べた。
 国井精副会長は「今回は農業研修できているが農業にこだわる必要はない。外国に出ることが重要であり、新しいのものに触れて帰れば、新しい発見に役立つ。県人会の青年も日本の若者との交流が少ないので、サンパウロ市内見物は彼らに任せます」と語った。
 ミナス州サンゴタルドでコーヒーと大豆栽培をしている奥山弘一さんの農場で研修する三田耕生(24)さんは、「日本移民が苦労して、這い上がってきたフロンティア・スピリッツ(開拓精神)を感じてみたい。また実家では、ビニールハウスでミニトマトをつくっているが、ブラジル農業の経営方法を学んでみたい」と抱負を述べた。

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