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「総意」解釈 平行線辿る=百周年協会に再考求める=県連代表者会議紛糾 険悪ムード

12月24日(金)

 コロニアの「総意」巡り紛糾――。ブラジル日本都道府県人会連合会は二十三日、ヴィラ・マリアーナ区の栃木県人会館で臨時代表者会議を開いた。百周年祭典協会が記念事業の中心に据える日伯総合センターについて、同協会の上原幸啓理事長らがその方針を説明。コロニアの総意が得られていない、と批判した中沢宏一会長に対し、渡部和夫補佐が「従来の(周年事業)のように日系主要五団体が中心になるべきという考えが間違い」との考えを述べ、総意を巡る解釈の食い違いが明らかになった。同協会が県人会に対し、直接説明の場を持つのは初めてだけに、建設的な話し合いが期待されたが、「総意」自体への理解が異なることが浮き彫りになった。
 元々、百周年祭についての意見交換会として各県人会長らを招集していた中沢会長。会場でいきなり、この日の会合が県連の決議機関となる臨時代表者会議と題されたことに一部の二世会長が「何を決議するのかが曖昧」「ここでの決議に法的根拠はない」と指摘。これを受け、中沢会長は急遽多数決を取り、十六対四の賛成多数で臨時代表者会議とすることが決まった。
 冒頭、同センターの設計を担当した大竹ルイ氏が、サンパウロ市の発展・開発の歴史を地図などを元に、ヴィラ・レオポルジーナ区に建設することにした経緯を説明。また予算については千七百万ドルに及ぶことを改めて県人会長らに説明した。
 上原理事長は「宝石協会から一緒にこの事業をやろうと持ちかけられた詳細はネゴ(交渉)に影響するので話せないが、一生懸命やっています」と理解を呼掛けた。
 これに対し、司会のはずの中沢会長が「先日の臨時総会でいきなり総合センターの変更案が提案され、コロニアの総意を得ていない」などと批判。祭典協会はどのように参加団体に理解を求める努力をしたのか説明して欲しい、と迫った。
 これを受け上原会長は「一部の独断で決めているわけではない。逆にどうしたら日系百四十万人全員から同意を取る方法があるのか教えて欲しい」と強い口調で各県人会長に語り、不快感を露にした。
 険悪な雰囲気が漂いかける中、追い打ちを掛けるように中沢会長は「がっかりした。総意を得るよう努力するのがリーダーでは。どうして理事長がそういう(投げやりな)ことを言うのか」などとあからさまに、上原理事長を非難した。さらに続けて「五団体が毎週のように会議を開きながらやるべきところを、上原さんと渡部さんら一部だけで運営しているのが間違い」と協会執行部のあり方を名指しで批判した。
 それまで発言を控えた渡部補佐は、憤然とした表情で発言を求め「県人会長らに計画を説明するはずのつもりだったのに理事長を責められては黙っていられない」と反論の口火を切った。
 マイクを片手にやや頬を紅潮させた渡部補佐は、「自身が副理事長という肩書きを持つにも関わらず、その役割を果たさずに協会を責めるのはどうしてなのか」と中沢会長の発言を問題視。同総合センターの「総意」の解釈についても「中沢さんは主要五団体と口にするが、そもそも従来のやり方が間違っていた」と全伯的に各団体を会員として取り込む、現在の体制の方が「より民主的だ」と強調した。
 協会関係者が退席して行われた県人会長ら二十五人だけによる決議では、同センターがコロニアの総意を得ていないとした会長が十九人、得ているとした会長が一人となった。
 県連として「再検討を求める」ことも決議され、近日中に協会に文書で提出することになった。
 御三家の一つが態度を明らかにしたことで、今後の百周年の動向にさらに注目が集まりそうだ。

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