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パラナ統合へ大きな一歩=アリアンサ、リーガが合同総会=「あとは書類上の問題」=互いの執行部は一年続投

2月1日(火)

 パラナは大きな一歩を踏み出した――。「内部的には今日で完全に統合です。あとは書類的にどう統合させていくかという問題だけ」。三十日午後九時過ぎから北パラナのロンドリーナ本部で初めて行われた、パラナ日伯文化連合会(以下アリアンサ、上口誠一会長)と同文化運動連盟(以下リーガ、西森ルイス会長)の合同総会で、西森会長はそう宣言した。支部からの要請により、長年検討されていた案件である両連合会の統合。今回の合同総会ではお互いの執行部をもう一年延期するという選択をすることで、一気に合併するのでなく、時間をかけて統合という筋道を選んだ。

 上野アントニオ・アリアンサ評議員議長(パラナ商工会議所会頭)の司会により、合同総会は進行。例年より多い約二百人が出席するなど、注目された総会となった。上野評議員議長、両連合会会長、JICAブラジル事務所の小松雹玄所長、同サンパウロ支所の石橋隆介次長、萩生田浩次クリチーバ総領事らがあいさつした後、合同総会が開始された。
 五十八年の歴史を誇るリーガはスポーツと歌謡分野、三十八年のアリアンサは教育、社会活動、文化、ゲートボールを統括する連合会として、全パラナ州に散らばる七十二日系団体をまとめてきた。これら団体には同州の十五万日系がつながっている。それに加え、同州からのデカセギ人口が五万人近くいるとも言われている。
 合同総会ではまず、リーガの昨年会計を説明、承認した。十時半ごろから休憩をかね、各日系団体から代表一人のみを集めて、別室での会議が行われた。
 その後、リーガの西森会長から、現体制を一年間延長する考え方が提案され、「承認する人はそのままで」という形で決をとった。続投決まった西森会長は「これからは両方の連合会の会員に対し開かれた存在になる。どちらの行事にもどんどん応募、参加して欲しい」と呼びかけた。
 続いて、アリアンサの昨年の会計報告が承認され、上野評議員議長が「アリアンサももう一年、今の役員のままでどうだろうか」と提案し、大きな拍手で承認された。
 任期二年目となった上口会長は「統合にはもう少し時間がかかるということで、引き受けることにした。今度こそは統合をなしとげ、新しいリーダーが生まれるはず。統合された理事会が百周年を担っていくでしょう」と抱負を述べた。
 西森会長によれば、百周年準備委員会のメンバーを移民の日までに決定し、具体的な記念事業案の検討に入るという。
 リーガの行事は野球・卓球などを中心に年間約六十以上、アリアンサは俳句・盆踊り・ゲートボールなどを中心に三十以上ある。西森会長は、「今年の両団体の行事は全てアリアンサ・リーガの名前で主催します」と語った。つまり年間百行事以上、各月で十行事近く、週単位なら二行事以上をこなす超多忙な連合会組織となる。
 リーガ総会で承認された昨年度会計では収入が二十五万二千二百十七レアル、支出が二万八千百六十七レアルとなり、残高の二十二万四千五十レアルはローランジャにあるリーガ会館の改修工事に使われることが改めて発表された。
 一方、アリアンサ総会で承認された昨年度会計は、収入が六十六万二百五十六レアル、支出が四十七万八千六百三十六レアルで、残高は十八万千六百二十レアルだった。
 ともに、今年度の予算案は示されず、改めて審議することになった。
 一気に統合とはいかなかったが、まずは堅実に第一歩を踏み出したパラナ日系社会。百周年を機に、団結を図ろうとする姿には、学ぶ点が多いようだ。

記者の眼=保守層のスピードで改革を

 アリアンサ、リーガ両連合会は活動分野こそ違うが、共にロンドリーナ本部に事務所を置き、九十周年などの大きな行事は二つが団結して取り組んできた歴史がある。傘下の日系団体数は、「若干リーガの方が少なかったが、事実上はほとんど同じだった」と西森ルイス会長は説明する。
 「合併して欲しいという支部からの声が、今回の動きのきっかけだった。もちろん私も賛成。ただ、書類上の統合がなかなか難しい。というのも、新しい団体を作るような形になってしまうので、連邦や州の税金免除の恩典などが一からやり直しになるなど、書類上の問題は多い」
 二つの連合会のあり方を、「体は同じで頭は二つ」という例えで表現する人もいる。その線で言えば、今回の統合は頭が一つになるための動きだ。そうなると、役員数も半分。その人選もなかなか難しいようだ。
 合同総会の最中に行われた別室会議では、某有力役員が「二年間の延期はどうだろうか」と呼びかけたが、支部代表者らの反対も多く、結局は一年間ということで決着がついた。現状維持を図ろうとする方向性と、早く統合を進めたいとする方向性が内部にはあるようだ。
 新しい方向性を踏み出す上での大事な点は、既存の秩序を破壊しすぎないことではないだろうか。どこぞの協会が従来からのやり方を大幅に〃改革〃したことで、総意に至らず混迷する姿を見せているのは、まさに他山の石か。
 改革はどの地域にも必要だが、急ぎすぎてはいけない。お互いが納得する形でゆっくり進めるのが適当なのだろう。急激な変化には、一般の保守層がついていけない。一歩、一歩、民衆のスピードで改革を進めて欲しい。  (深)

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