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大阪橋袂の家無し男に関係者困惑 仕事世話しても勤労意欲がない 日本の肉親も見捨てた 入るか総領事館、国援法適用?

2月11日(金)

 【既報関連】沖縄県人会(宮城調智会長)は七日、大阪橋の袂で生活していた、同県出身の新崎武美さん(あらさき・たけみ、51)を保護し、十日間という期限付きでスザノ市にある日系団体の会館に預かってもらうことにした。同県人会はこの間に、日本の留守家族と連絡をとって善後策を練る考え。本人に勤労意欲が見られない上に、肉親からも見捨てられており、どうやら一筋縄ではいかなさそうだ。
 「同郷人が地域住民に迷惑をかけるのは、しのびない」。商店主から事情を聞いた同県人会は、新崎さんと面談を重ねてきた。松堂忠顕会計理事がスザノ市にシャカラを所有。管理人の仕事を用意した。
 新崎さんは、寒さから逃れてきた十代の少女をテントに匿っており、当初大阪橋から離れることを渋っていた。「他人の世話をする前に、まず自分の生活を見直してほしい」と説得された。
 県人会は新品のベッドや毛布を買い与えたほか、宮城会長が衣類や食品を差し入れた。ところが、本人には勤労意欲はない。
 新崎さんを以前雇用していたという会員が現れ、「上原」という偽名をつかっていたことが分かった。さらに、「沖縄で暴力団に関わっていた」などといった噂も聞かれた。
 宮城会長は事務局宛の書簡の中で「彼には、全く働く意欲がないので困っています」と懸念を表明。関係者の一人は呆れて、「最初はかわいそうな人だと思っていたが、色々な事が出てきて、びっくりしています。彼は県人の恥曝しだ」と憤る。
 県人会は、日本に送り返すことも視野に入れている。沖縄ブラジル協会(那覇市)が新崎さんの兄からパスポートを受け取ってブラジルに送付する考えだ。
 ただ、日本の肉親には引き取る意思はなさそうで、ブラジルから何度電話を入れてもつながらない。そのため沖縄ブラジル協会が、家庭訪問して家族の希望などを聞く。
 国援法の適用は、本人に帰国の意思があることが前提になるので、適用は難しいとみられる。身元引き受け人は、老人施設など親族でなくても可能だ。サンパウロ総領事館の邦人保護班は「救済の依頼が入れば、新崎さんに会って事情を聞いてもよい」と話す。
 最終的には、福祉施設に引き取ってもらうことになりそうだ。月々の経費について、日本の留守家族からの送金は期待出来そうもない。もちろん、県人会が負担するわけにもいかず、頭の痛いところだ。

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