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コラム 樹海

 取り扱いや処置に困ったことを「持余す」と言うが、金正日総書記が率いる北朝鮮はまったくのところ「橋にも棒にも掛からない国」である。他所の国である日本に工作員が密かに入り込んで若い女性らを拉致する。暴力を行使したり甘言を用いての謀略も平気。揚げ句の果ては横田めぐみさんの遺骨という偽物を返還する▼そのくせ「コメを寄越せ」とかの無謀発言が続く。ノドンやテポドンを実験と称して発射しては脅かす。これでは日本人が怒るのも仕方があるまい。と、こんな剣呑な関係なところへ今度は「核兵器保有」という爆弾宣言が飛んで来た。6 国協議もアメリカの態度が気に入らないので永続的に中断するとも表明する。そのうえ日本をも痛烈に非難する▼あの国が寧辺の核施設で原爆を製造しているの噂は以前から流れていたし、必要な部品を輸入していたの情報もある。が、北朝鮮外務省がラジオ放送を通じて「核兵器を製造し保有している」と言明し世界の国々を驚かせた。6 国協議も、核兵器の開発を中止させることが狙いなのだ。もし、北朝鮮が表明通りに参加を中断すれば、問題は国連安保理に持ち込まれ「経済制裁」が実施され、あの国の苦境は底知れずに深まる▼どうして―こんな薮から棒の外交政策が生まれてくるのか不可解だが、単に「瀬戸際外交」と受け止めていいものかどうか―である。あるいは、時間稼ぎが目的かも知れないが、それにしては事が大きすぎる。まあ今は、製造し保有するとかの核兵器が東京に飛ばないのを祈るのみ―である。(遯)

05/02/12

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