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大統領選でモロ対ボウソナロの可能性は?

モロ氏とボウソナロ氏(Antonio Cruz/Ag. Brasil)

 4月24日のセルジオ・モロ法相の突然の辞任はブラジル社会全体を揺るがした。このショックで、ボウソナロ大統領は熱狂的支持基盤を築いてきたSNSでの支持者数が万単位の人数で減少。大統領に大きなダメージまで与えている。
 さらに言えば、ダッタフォーリャの世論調査で、モロ氏が糾弾した「大統領による連邦警察の捜査への干渉」に関しても、世論の56%が「信じる」と答え、「信じない」の28%の2倍を記録した。
 昨年のうちから、「22年の大統領選でボウソナロ氏に勝つ人物がいるとしたらモロ氏」ということは一部メディアでも指摘されていた。今回の両者の対決を「大統領選での前哨戦」と見る向きさえあるが、果たして22年の大統領選で、この両者の対決の可能性はあるのだろうか。
 この問いに対しコラム子はあえて「あり得るが、その確率は高くない」と答えておくことにしたい。
 なぜか。まず一つは、ボウソナロ氏自身が任期を全うできるかどうかが微妙だからだ。3月から続く、コロナウイルスに関しての非常識な見解や軍政復古支持デモへの参加、そしてモロ氏に対しての疑惑などで、現在、下院に罷免請求が殺到中で、大統領自身が罷免審議が始まらないようにセントロン(議会中道派グループ)に交渉をしているほど。
 コロナ禍の最中に政変を起こしてほしくないと願う国民に配慮して、マイア議長は動きこそ起こしていない。だが、同議長もボウソナロ支持者から日頃、批判の攻撃対象にされている張本人だ。恨みがないわけがない。罷免審議は一度却下されると勢いを失うため、むしろ良いタイミングを待っているのではないか。コラム子にはそうにしか見えない。
 また、仮に今、セントロンが大統領側に付いたとしても、モロ氏のような目玉閣僚はもうおらず、大統領自身が批判していた「古い政治」の象徴的存在のセントロンと結託すれば、この先、2年半、人気が持つとも思えない。ましてや誰とでもすぐ喧嘩をしてしまうボウソナロ氏のことだから、この関係が保てるかどうかも微妙だ。
 一方、モロ氏の方だが、セウソ・デ・メロ最高裁判事が出した、大統領の連邦警察干渉疑惑の調査で、自身に有利な展開を引き出せれば人気もさらに出るだろうし、その勢いで22年の大統領選で勝利―というシナリオもあると思う。
 だが、肝心な「大統領としての資質は?」となると、コラム子は甚だ疑問だ。元々、司法畑一本できた人生で、州や市のような自治体を治めた経験はない。さらに司法関係者にしては口下手な印象があり、口を開けば「汚職撲滅」しか言っていない印象がある。このコロナ禍に関しても自分自身の意見をなかなか発しないため、「モロ・スミウ(モロが消えた)」などと、よくネット上でからかわれてもいた。
 加えて、同氏は過去に選挙に出た経験がない。そうした人物で大統領になった人物としてジウマ氏が思い出されるが、ご存知のように罷免を経験。それを思い出して不安になる国民もいるだろう。
 モロ氏からうかがわれるのは「右翼」「保守」のイメージだけで、そこから「では、どういう政治をするのか?」の具体性は全く湧かない。これでは、選挙戦の最初はリードできても、投票時の勢いが出ない。
 むしろ「正候補者に良いイメージを与える副候補」の方が良いのではないかと、コラム子は思う。聖州知事のジョアン・ドリア氏やリオ州知事のウィルソン・ヴィッツェル氏。コロナ対策も好評でボウソナロ氏との対立で名を挙げた彼らにつく方が無難だし、本来の力量にも見合う気がするのだが。そのことは内心、モロ氏自身も自覚していることではないだろうか。(陽)

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