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日伯関係 再構築の時期=首都で経済シンポ=21世紀の見取り図描く=両国250人が意見交換

3月5日(土)

 伯日議員連盟(小林パウロ会長)主催の伯日経済シンポジウム「二十一世紀のブラジルと日本の戦略的パートナーシップ」が首都ブラジリアの下院会議場で三日午後二時半から、約二百五十人の両国の政治経済界代表らを集めて行われた。日本移民百周年を三年後にひかえ、昨年九月の小泉首相来伯をきっかけに始まった、両国の新しい経済交流のあり方を探る試みとして今回企画された。タイミング的には、五月のルーラ大統領訪日の下準備ともいえ、今後の日伯関係の見取り図を描く重要なシンポジウムとなったようだ。

 日本からは河村建夫議員(前文部科学大臣)、ブラジル側からはセヴェリーノ・カヴァウカンチ下院議長(PP=進歩党)が出席し、予定時間を大幅に超過、午後七時半まで熱心な講演と質疑応答が行われた。
 ブラジル連邦議会で百四十七人の議員を抱える最大のグループ、伯日議員連盟の会長、小林パウロ下議は「グローバリザソンの時代に合わせた、新しい日伯関係を構築する必要がある」と意義付けた。
 日本の国会で百十五人の議員が参加する日伯議員連盟の事務局長であり、七年ぶりに来伯した河村議員はまず「躍進振りに驚いた」と語った。
 「今やナショナル・プロジェクトではなく、民間によるプロジェクトが主流の時代。日本からの民間投資を増大させるためには、どのような環境整備が必要か、忌憚のない意見交換をしてほしい」と要請した。
 「私自身、できるだけの協力をしていきたい」との意気込みを語った。加えて、大統領訪日時にあわせて東京で開催される、日伯経済合同委員会へとつなげられる討議を、との期待を述べた。
 三つのテーマごとに分かれ、まず「相互補完パートナーシップ」(双方に利益のある関係構築とは)では、伯日議連副会長のパウロ・デウガード下議(PT)が進行役となった。日本からは国際協力銀行(JBIC)森田嘉彦副総裁が発表し、(1)エネルギー天然資源(2)インフラ整備(3)エタノールやバイオディーゼル(4)製造業の四分野が有望ではないかと提案した。
 中でも京都議定書が発効して話題になっているCDM(クリーン開発メカニズム)ビジネスについて、ブラジル国内で二酸化炭素削減プロジェクトにJBICが融資し、そこから生まれる排出権を日本のファンドが購入する仕組みを、ブラジル政府担当機関と調整しており、五月の大統領訪日時にこれに関連した協力協定を結びたいとの期待感を表明した。
 その他、テーマ2では「貿易・投資の現状と今後の展望」、テーマ3では「投資環境整備」が活発に話しあわれた。(=後日詳報=)
 ブラジル側もペトロブラスの財務担当者、BNDES総裁補佐官、リオ・ドッセ財務担当など、ブラジル経済界を牛耳る部署からの出席があり、新しい戦略的関係構築に向けた大枠での共通認識を深めた。
 締め括りにあたって、カヴァウカンチ下院議長は「日本とブラジルは非常に親密かつ特別な関係を持っている。最初の移民船がサントス港に着いてから百年近い年月をへて、移民たちは重要な役割を果たしてきた。その上に今日の日伯関係は築かれたといっても過言ではない」とし、下院の名において幕を引いた。
 堀村隆彦ブラジル大使は「両国間の新しい経済関係を構築することは、アジア経済圏と南米経済圏の中核を結びつけることを意味する。単に二国間関係にとどまらず、世界経済の大きな活性化につながるものと思われます」と総括した。
 最後に、ブラジル日本商工会議所の田中信会頭は「在伯三十年になるが、このようなシンポを下院のイニシアチブで行うのは、画期的な試みではないかと思う」との感想を語った。

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