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サッカー通じ日伯の絆強めよう=地味な活動、日系二世=山口さん室蘭大谷高女子部で監督=ブラジル紹介のメルマガも

3月16日(木)

 サッカーを通じて、日伯の絆を深めようと地道な活動を続ける日系二世が、北海道内にいる。室蘭大谷高校女子サッカー部の監督を務める傍ら、昨年からEメール(メルマガ)を通じて、ブラジルのサッカーや社会事情などを紹介している山口アントニオ浩さん(39)だ。元々は札幌市内の社会人リーグの選手として日本に渡った山口さんだが、十五年間を日本で過ごし若い世代の育成に当たってきた。「ブラジルの情報はまだまだ少ない。サッカーを通じて、関心を持ってもらえれば」と語る。

 長崎県出身の両親を持つ山口さんは、コチア市生まれで男女合わせて八人兄弟。男兄弟は六人いたため、幼い頃からサッカーに没頭する環境だった。
 日本に渡ったのは一九九〇年一月。先にプレーしていた兄の誘いで札幌MAZDAに選手として加入して、北海道社会人一部リーグで優勝したり、ベストイレブンにも選ばれたりした。
 「来日当時は真冬。外に出たら、一面は真っ白で出歩いたら家に帰れないのでは、と怖かった」。言葉の壁や文化の違いはあったが、兄の支えもあり、山口さんはどんどん父祖の国に適応していく。
 自らもブラジル時代にサンパウロ州三部リーグ、パレストラの二十歳以下のチームでプレーし、若年層の指導の重要さを知っていた山口さんは、選手引退後に本格的に指導者としての道を歩み始め、小学生から大学生まで様々な年代の指導を経験。二〇〇三年三月には日本サッカー協会B級コーチも取得し、今年一月からブラジル人留学生を抱える室蘭大谷女子サッカー部監督に就任した。
 「日本の選手は吸収意欲が高いが、国際経験が足りない。そうした機会が少ない一般の選手をブラジルで交流させられたら」。
 日本人の妻と結婚したこともあり、永住志向が強まった山口さんは指導者として活動する一方で、日伯のつながりを強めたいと決意。昨年十一月から「ヘタクソでもブラジルでサッカー留学できる!?」とのタイトルでEメールによる情報発信を開始する。
 週二回発行で、ポルトガル語の基本的な日常会話やブラジルで一般的なスラングの紹介。またサッカーで欠かせない専門用語やプレー中の言葉などもわかりやすく盛り込んでいる。
 また、ブラジル人の気質や、バールでの食事などサッカー以外の情報も盛り込んでいるのも特徴だ。
 日本で様々な仲間が増えたと語る山口さんの夢は「サッカーを通じて本当の意味での国際交流を実現したい」。四歳の時に夫を亡くした後、女で一つで八人の子供を育てた母は今月十四日に七十二歳。十八日に一時帰国する山口さんは、母との再会を心待ちにしている。
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