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食と健康そして環境=考えよう健全な水と食材の確保=連載(7)=木炭で庭木が元気に=特性上手に活用を

3月24日(木)

 木炭は、いまではいろいろな方面で活用・利用されていますが、古くから日本では燃料の他に土壌改良資材としても使われていました。木炭の農業への施用は、いろいろな炭が持つその特性を上手に活用しています。その特性と効能を見てみましょう。
 粉炭を顕微鏡で見てみますと、細かい管状の孔がたくさん見られ、一グラム当たりの内部表面積が三百平方メートルもあり、孔だらけの固まりです。炭化材によって違いがありますが、孔の大きさは数ミクロン~数百ミクロン(一ミクロンは一千分の一ミリメートル)だそうです。このため、吸着力が大きく、微生物膜ができやすい。水や空気の浄化に適しています。
 また、炭はphが八から九のアルカリ性ですから、酸性土壌の畑は、化学肥料の多投で酸性土になっているため、ほとんどの畑で石灰を撒布しないと作物が育たなくなっています。ここに炭を施用すると、作物の好む弱酸性まで調整ができるわけです。酸性雨で被害を受けた森林の樹木の再生にも利用できるわけです。
 植林の山から切り出される間伐材の炭ですから、前回書きました有機農法にもっとも有効な資材といえます。炭素材と窒素材と水分調整で堆肥ができますが、醗酵して熟成が始まると、どうしてもアンモニア臭の強いガスが出ますので、堆肥材の混合時に粉炭を混ぜますと、醗酵時の匂いか炭に吸収され、あまり気にならなくなります。
 炭の材にもいろいろあります。普通は広葉樹を焼きますが、針葉樹のものもあります。竹を焼いた竹炭もあります。さらに焼き方でも白炭、黒炭に分かれますが、硬質白炭が熱カロリーも高く品質が良いとされ、日本では備長炭が代表的なものです。
 この木炭が「地球環境を守る」資材として注目されてきています。一昨年亡くなった岸本定吉林学博士は数多くの実験データや著書を残しておられます。博士の説に呼応して多くの研究者が、それぞれの分野で炭と木酢液についても著書をだしていますし、産業界でも木炭の活用方法を見なおし、さらに木炭の需要が高まってきているようです。
 当地ブラジルではシュラスコの熱源でしか見ていませんでしたが、これらの研究結果を見ながら、炭の活用を実践する農家も増えてきました。燃料ばかりでなく、茶道、治金工業、化学工業、研磨、園芸、露地野菜、水稲、畜産、水産、飾り炭、緑化樹、ゴルフ場、カーボン紙、カーボン・カーペット、調湿剤水の浄化剤、空調浄化フィルター、木炭堆肥、菌体肥料、消臭剤、電磁波遮蔽器具、炭入りシャンプー、炭入り化粧品などいろいろな分野で炭の活用が広まってきています。
 冷蔵庫の隅に一片の炭を入れておくだけで、イヤな匂いが気にならなくなり、靴箱、タンス、ペットの寝床などでも消臭効果があります。水道水を五分間の熱湯消毒した炭フィルターを通すか、ペットボトルにいれておくと、消毒用の塩素の味もなくなり、ミネラル水に変わります。
 もっともミネラル水で使う場合には、十日も使えば木炭に含まれるミネラル分がなくなりますが、浄化剤としては一カ月置きくらいに取出して天日干しすれば、いつまでも使えます。
 熱湯消毒して干した木炭で炊飯する話しはよく聞きます。ヌカ漬け、新鮮野菜の下に、米びつの防虫、鉢物、ポットの消臭、車内の消臭、ペットの寝床下などにも便利です。住宅壁のペンキ塗り後の匂い消しには効果的です。新築住宅で調湿・脱臭・防虫のほかに、磁場エネルギー向上でストレス解消、電磁波遮蔽などを目的に床部分に炭埋する人もいます。木炭と塩だけで洗濯もできます。炭の応用はますます広がってくるでしょう。(つづく) 筆者・成田修吾農業コンサルタントの連絡先は電話9625・1814。

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