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食と健康そして環境=連載(2)=水質汚染は人為的な原因=地域ごとに無くす運動を

3月15日(火)

 湖沼、河川、海などの自然状態が水質的に変化して、水の利用が阻害されたものが水質汚染です。水源地汚染について農業が原因と書きましたが、実は一番の原因は私たち人間が営む毎日の生活上から出る原因が多くあります。一般的には工場排水、生活廃水、鉱業排水、畜産廃棄物などが水域に流れ込んで、水中生物相に異変を起し、飲料水や農業用水など水利用上に障害が出るものです。
 周知の通り、工場地帯から出る二酸化炭素は地球温暖化で問題になっていますし、酸性雨で森林や農作物にも大きな被害をもたらしています。
 水質汚染が農業に与える影響としては、①作物に障害が現れ、生育・収量低下。②農産物中に有害物質が集積し、ヒトに害を与えるため食品として利用できなくなる。③作物の倒伏などで作業能率が低下。④農作業のヒトの皮膚病、カブレなど健康上の害が考えられます。このうち、怖いのは目に見えないところで、作物内に集積される有害物質です。残留窒素、残留農薬がヒトの体内で蓄積すると、いろいろな病気を引き起こすことになるからです。
 農業生産地での水質汚染ではまだ大きな問題にはなっていませんが、直接、農薬害で亡くなった人の話しはたくさん聞きます。都市に住んでいるから、排水には気をつけなくてもよいとは言えないと思います。例えば、米洗い水、洗濯用の合成洗剤、シャンプー、一日一回の排泄物、身体を洗うシャワ―水、洗車の水などなど多くありますが、これが川に流され、湖沼、河川、海などで窒素やリンなどの栄養分が水中に豊富な富栄養化現象を引き起こし、藻類のアオコ、赤潮になって水生生物が異常に繁殖します。
 藻類が繁殖すると、一部の死骸には腐敗菌も発生して異常な匂いを発するようになり、鼻をつまみたくなる猛烈な匂いになります。これを、処理して規定値以下にして川に流せばよいわけですが、処理を怠ると大変です。
 地方都市の処理場を見学しますと、多くが、単なる沈殿処理で上澄みを川に垂れ流しているのが見られました。本来なら、二槽三槽と仕切り、ばっ気処理しませんと臭いが消えることはありません。
 ところが、その方法を話しますと、市役所にばっ気に使うモーターの電気消費代金の予算がない。というわけで、近くの住人たちはガマンの毎日です。川に流されたこのような生活廃水を各地区ごとに川の排水口付近に炭俵を置いて、水質を浄化して、魚のいなくなった川にウグイなどが産卵するようになった、など木炭で排水処理をする事例が日本各地に増えてきていると聞きます。
 海産物好きの日本人は、だれもが臭い魚は食べないように、食物連鎖という言葉を記憶に残しながら私たち一人一人が方法を考えてみてはどうでしょうか。
 自分の住宅近くにくさい匂いのする川がありましたら、地域ごとに炭俵を大石で沈めて川水の浄化をする運動を起してみてください。必ず水質が変わるはずです。そしてまず匂いが消えるはずです。
 水質汚染の問題は、ひとごとはでなく、私たちの生活環境にも大きな影響がありますので、やはりみんなで改良する方法を考えてみませんか。(つづく)

■食と健康そして環境=連載(1)=考えよう健全な水と食材の確保=水源地汚染じわりと=硝酸態チッソ、生活に影響

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