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食と健康そして環境=考えよう健全な水と食材の確保=連載(8)=無二の親友を喪う=体内への残留農薬によって

3月25日(金)

 昨年九月二十九日、カッサドール市でアーリョ、セボーラ、トマトづくりをしている無二の親友、弟とも思って付き合っていたH氏が亡くなりました。その数年前にはパラナの旧パトロンN氏の三男がやはり亡くなっています。二人ともまだ四十代後半の働き盛りでした。H氏は農作業中に息苦しくなり、胸の痛みを訴えクリチーバの病院へ入院し、精密検査を受けて治療中に亡くなったのです。
 家族の人たちを含め私たち回りのものは、驚きで二の句がありませんでした。あんなに元気だったのに、とみな口を合わせます。入院前に私に電話してきて、「今度、いつ来る。会いたいね」。これが彼の最後の言葉でした。
 何度か堆肥や木酢液使用で、減農薬農業や有機農業のいろいろな技術面を話しながら、私は農薬の恐ろしさを訴えていたところでした。H氏はトマトづくりの苗を見ながら亡くなったのです。
 「農薬を使えば、農業者自身の健康が危ない。それに、そんな農薬を使ってつくった食べ物を消費者に届けていいのかという思いが強くあります」近年の農薬は「低毒性」とうたわれ、分解性も高めている。しかし、「低毒性とは急性毒性が低いということであって、長期にわたって影響する慢性毒性の強さは別」と鹿児島大学医学部の松下敏夫教授の指摘があります。低毒性というだけでは、農薬使用の危険性が低下したとは言えないということです。(南日本新聞社記事から)
 こうしたことから、私はますます有機農業、減(無)農薬、環境改善、生態系維持農法などを生産者の方たちへ情報として提供させていただき、ますます消費者である読者のみなさんへも訴えたい気持ちが強くなるのです。
 いまでもご厚誼いただいている、元山口大学農学部長の牧田登之獣医学博士は「確かに世界人口の増加に伴って、食料の大量生産が必要になり、化学肥料も農薬も必要になってきている。これからもますますその傾向が強くなってくるでしょう。そのために自然環境の生態系が破壊されていくことも確か。食料の大量生産の手段として、遺伝子組替え品種、海洋牧場などの研究がますます盛んになっていくでしょう」といっておられます。
 広大な疲弊した土地で作物をつくるのが、ますます難しくなっていますし、化学肥料で作物をつくることも、使い方では食料確保の方策といえないこともありません。大農家は大量生産のために大型の機械をいれて、耕運、播種、ピボーシステムの灌漑設備、広範な農薬撒布、大型脱穀機、そして輸出産品として一貫した一大事業家に転身していきます。しかし、中小農家はどうなりますか。
 小面積の耕作地で作られる果物や野菜がなければ、私たち食生活も寂しくなります。人間の食欲を止めることはできないのですから。いったん知った味覚は忘れることができないのです。
 そして生産者の方たちは、持てる土地の範囲でできるだけの作物をつくって家族を養い、子供たちへ高等教育を促し、生活を守っていかなくてはなりません。私たち食生活はこうした方たちに支えられているのです。フェイラのバンカに並ぶ果物や野菜は表面上きれいかもしれませんが、農薬が残留していないと断言できません。農薬には発ガン性などのほか生殖毒性もあると言われています。真剣に考えてみましょう。(つづく)

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