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語学指導、デカセギ支援など……=国際交流員が訪日へ=JETプログラム

4月2日(土)

 昨年九月の小泉首相来伯時、文協ら日系五団体がわずか十五分しか懇談できなかったのに、その二倍、三十分を割り当てられた青年団がいた。JETプログラム(語学指導などを行う外国青年招致事業の略称)のOB会(相良クリスチーナ会長)だ。この制度は地方公共団体と総務省・外務省・文科省・自治体国際化協会(CLAIR)が協力して実施しているもの。
 二十三日サンパウロ総領事館は、四月四日に訪日する第十九期の国際交流員四人(同館管轄)を招いて歓送昼食会を市内ホテルで催した。交流員の名前と派遣先は今本明子ヘレナさん(25、福井県武生市)、田中エリカさん(28、山梨県県立国際交流センター)、齋藤昌利アメリスさん(28、長野県総務部国際課)、沼梓さん(あずさ、26、三重県生活部国際室)。
 漫画本出版で有名なコンラッド社で編集者をしていた齋藤さんは、「ブラジルの良いものを日本の人に紹介したい」と張り切る。宮部みゆき、佐野洋、西村京太郎など読み漁る読書家でもある。
 田中さんはセントロ・ブリタニコで英語教師をする傍ら、アリアンサで日本語を教えていた。「デカセギの人たちの役に立つことが何かできないか」と考え、応募した。
 二月十九日に帰伯したばかりのOB、早藤クリスチーナさん(33、三世)は、「現在は英語圏の人がほとんど。もっとブラジルからの派遣者を増やしたい」と、強調する。
 世界四十一カ国から約六千百人がこのプログラムで訪日。国際交流員、スポーツ交流員、外国語指導者の三種に分かれて活動しているが、ブラジルからは十七人にすぎない。
 早藤さんは北海道帯広市で三年間、国際交流活動を行ってきた。「世界中の友達ができ、自分自身が成長したと感じます」。今の日本人の若者に対し、「何でもアメリカ、アメリカ。もっと日本人として誇りを持ってほしい」との感想を抱いた。
 在日外国人の中でブラジル人の数は韓国人、中国人についで三位。この派遣プログラムによって、デカセギ自身やその子弟への支援も行われているが、残念ながら制度の知名度が低く、地方自治体からの要望が少ないという。
 と同時に、相良会長は「日系社会内での知名度もあげ、たくさんの応募者が集まるようにしたい」との希望を語る。丸橋次郎首席領事も「この制度を通じて、草の根文化大使として日系人に活躍してほしい」と期待を込めた。
 この四人以外に、リオ総領事館推薦でヴィトル・ド・ナシメント・パコバーバさん(23、北海道帯広市国際交流課)とパトリシア・ユミ・サワダさん(26、兵庫県産業労働部)、大使館推薦でアレッサンドロ・タタジバ・ボルゲスさん(32、埼玉県教育局指導部)の三人が訪日する。

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