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「なま鮭寄生虫」感染で不安=関係業者に大影響=マイナス18度保存?=「そんなのできるでしょうか」

4月9日(土)

  生の鮭(シャケ)や鱸(スズキ)を食べて寄生虫への感染が確認された件(フォリャ・デ・サンパウロ紙五日付)で、客足が途絶えてしまうのではないかと、日本食レストランや魚屋などに懸念が広がっている。サンパウロ市当局によると、調理前の二十四時間、マイナス十八度以下で保存すれば問題はないという。市民の頭にこびり付いた不安は、簡単に一掃出来そうもない。健康ブームなどの追い風に乗ってきた日本料理店。騒動が落ち着くまでの間、しばらくは向かい風に耐えなければならないようだ。
 「いや、困りましたネ」。ある日本食レストラン(サンパウロ市リベルダーデ区)の経営関係者は焦燥感を露にする。「消費者が伯字紙のセンセーショナルな報道に過剰反応。来店者数が落ち込む恐れがある」と気を揉む。
 店主は「きちんと処理をした上で、料理しているので大丈夫だ」と衛生状態を保証。杞憂であることを主張している。
 鮭は昔から日本でも寄生虫がいると言われ、人気漫画「お美味しんぼ」の中でも紹介されている。日本では焼き魚にするのが、一般的だ。
 一方ブラジルでは、刺身に人気があるという。例えば日本食のブッフェで、鮭の刺身を見ることが多い。ある中年の日本人男性は「妻は非日系人ですが、ニュースを聞いて、ぴたりと食べるのを止めた」と明かす。
 別の日本食レストランの店主は「鮭が無いなら帰ると、非日系人のお客に言われたことがある。二、三日で事の行方は判断出来ない。しばらく、我慢の時が続くかも」と心配顔。
 「リベルダーデ区よりは、モエマ区やイタイン・ビビ区などブラジル人相手のところが、深刻なのではないか」と見解を示した。
 「その件以来、鮭が出ないんだ」。魚屋の主人は、そうはっきりと口にする。塩漬けにして冷凍保存した後に販売。生のまま売るわけではないが、商品がはけないそうだ。
 七日正午すぎに立ち寄った時にみた鮭の切り身が、午後六時を過ぎた後も陳列ケースの中にあった。
 寄生虫駆除のため、マイナス十八度以下で冷凍するよう、当局は指導している。飲食店関係者から、そこまで温度が下がる冷凍庫があるのかという声も聞かれた。
 この魚屋にも保存の仕方について、レストランから問い合わせがよく入ってくるようになった。主人は「冷凍庫の壁に氷が固まって引っ付かないようにしておけば、温度は十分に下がります」とアドヴァイスを送る。

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