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困惑、疑問そして批判=文協会長選=残り2日、熱い局面=委任状の獲得合戦が激化

4月14日(木)

 今週末に迫った文協会長選挙。白熱する委任状獲得合戦が水面下で続いており、有権者から困惑の声が上がっている。また、決選投票が行われることが選挙管理委員会(原田清委員長)で決められたのは既報(九日付け七面)したが、この規約の解釈を巡っても疑問が浮上。さらに、編集部には谷候補のマニフェストに関して、下本候補から非難のFAXが届くなど文協初の選挙戦が今、熱い局面を迎えている。  
 「まだ誰に投票するか決めてないなんて! まじめにコロニアの将来を考えているの!?」
 某文協会員の自宅に、ある候補の熱烈な支持者から、委任状を依頼する電話があった。
 「選挙の状況も分からないし、土曜までに考えたい」と返答したところ、冒頭の言葉となり、ガチャンと電話が切られたという。
 「不愉快な思いをした」この会員、選挙についての情報を得るため、文協事務局に赴き、未払い分が約五百レアルあることが分かったという。
 今年になって三月末まで一千七十人が入会。これは昨年度の会員数の四割に相当する。全員が最低の半期五十五レアルを払っていたとしたら、五万八千八百五十レアル。まさに文協にとっては、〃選挙景気〃といえる状態となっている。
 この数字に関しては、約五百七十人が谷候補の事務所からの申請によるもの。本紙の取材で、下本候補は「選挙のために会員を勧誘したり、代理申請はしていない」と話している。
 残り五百人のうち、四百人は上原陣営の獲得したものという消息筋の話もあり、谷有利との風向きも変わってきそうだ。
 これからの新規会員は選挙権が得られないため、現会員三千六百三十人で選挙戦が争われることになる。
 事務局は、このうち八百~千人の会費未納者がいるとしているが、確実な数は把握していない。申請があれば十年前までさかのぼり、会費の支払い状況を確認している。
 過去に未払い分があることが分かれば、選挙権を失うが、選挙当日その未払い分を支払うことも可能。
 なお、一会員が十人分の委任状を提出することができるが、被依頼人に未納が発覚すれば、全ての委任状が無効となる。実際、現執行部の理事でも、未納期間が確認されており、国民年金未払い問題と同様の状況といえる。
 事務局側は「当日(午前九時から体育館で受付)は混雑が予想されるので、事前に確認してほしい」と呼びかけている。なお、代理確認は可能という。
―決戦投票に異論も
 誰も過半数を得票しなかった場合は一位と二位が決選投票をする、という選管の判断について一部から疑問の声が挙がっている。 というのは、選管委の規約二十六条にmaioria simples dos votosと明記されているが、「これは最多得票が当選することを意味するのではないか」というもの。この解釈に従えば、決選投票は必要ないことになる。
 選管委側の説明によれば、定款第二十一条第一項にあるmaioria de votosとの言葉を叩き台にしており、「法律的にはmaioriaは、過半数をさすことが多く、選管委でもそう解釈した」という。実際、誤解を招く恐れがあるため、「simplesという言葉を取ってはどうか」という意見もあったようだが、法的解釈するに留まっている状態だ。
―あわや泥仕合?
 下本候補からのFAXを要約すると、〇二年に改正された民法には「団体経営者を選挙によって選出するー10406番59条」により、「谷候補のマニフェストで『現在のシャッパは廃止する』というのは、民法上無理である」というもの。これに対し谷候補は、「(圧力もあるが)コロニアの良識を信頼している」と話している。
 林アンドレー弁護士によれば、「団体経営者」が現在、定款で二十六名の候補者となっているだけ。定款を改正すれば、民法上の問題はないが、第七章全般を改正する必要がある」という。

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