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シャッパ撤回を要求=高等審議会、谷氏に=選挙直前に説得工作

4月15日(金)

 文協会長選挙を三日後に控えた十三日夜、最高審議会の植木茂彬会長らが谷候補に対し、シャッパ撤回求める説得工作を再度行なっていたことが十四日、本紙の調べで分かった。谷候補は「選挙なくして文協改革なし」と初志貫徹の構えを崩さず、前回同様、交渉は不調に終わった。
 「すでに割れているコロニアがこれ以上分裂しないようシャッパを取り下げてくれないか」
 膝を交えた二時間の話し合い。高等審議会の貞方賢彦氏も同席した。
 同じバストス出身で六十年来の友人とされる渡部和夫氏や、USP入学時、すでに教鞭を取っていたという上原氏に、植木氏は全幅の信頼を置いている。そんな二氏に協力して欲しいと頼まれたことが説得工作の背景にあるとみられる。
 この会合で、植木氏は上原候補に会長を続投してもらい、下本候補は顧問など要職に、谷候補には百周年祭典協会の理事長を任せたいとの代替案を提案した。
 植木氏が谷候補にシャッパを取り下げるよう電話で「要請」したのは、先月三十一日に続き二度目(四月二日付七面で既報)。
 谷氏は「民法に定められた選挙というシステムを無視しているのでは。シャッパを公示し、数百人という支持者に応援されている今となっては時期的に遅過ぎる」と再び固辞した。
 また、植木氏は「選挙が必ずしもいいわけではない」と説いたようだが、谷氏は「選挙なくして文協の活性化、近代化はない」と持論を展開したという。
 さらに、「三ヵ月以内に現在のシャッパを解体し、新しい体制をつくる」と公約した谷氏に対し、植木氏は「投票者に失礼だし、不謹慎」と非難したとされるが、話し合いは平行線をたどった。
 貞方氏は本紙の取材に対し、「誰が会長になってもいいが、現在の分裂した状況は良くないと考えているのでは」と、植木氏の意図を説明。
 一方の谷氏は「『選挙をするな』というより、選挙後にコロニアが割れないような形に持っていくのが、高等審議会の役目だ。今さらシャッパを取り下げるようなことになれば、それこそ不満としこりが残るのではないか」と話している。

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