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コラム 樹海

 最近ガルボン・ブエノ街で餌を拾う鳩が減った。そして、汚くなった。若い鳩、特に雄は毛並みがつやつやしているものだが、そんなのはめったに見ない。動作が鈍り歩行者に踏ん付けられそうになる▼人に餌をもらって生きているのだから、野性が失われているのは仕方ないが、それにしても落ちぶれている。アクリマソン公園にいるのは、まだきれいだ。ひところに比べれば、パン屑を撒く人は減っており、鳩の数も減ったような気がする▼読者から、カンピーナスに燕が飛来しなくなった話をきいた。六十年ほど前まで、同市は「アンドリーニャ(燕)の町」といわれていたそうだ。来なくなった理由は二説あるという▼一つは都会化がすすみ、餌になる昆虫がいなくなったこと。もう一つは糞害のせい。公園の樹々をねぐらにしている燕が、下を通る人に糞を落とすので、一部の市民が怒って花火や空き缶を打ち鳴らし追放したというのだ。鳩にしても燕にしても「人の都合」で汚くなったり、減ったり、飛んで来なくなったのは、どうやら間違いない▼都会生活者は特に、身のまわりにしか興味を示さなくなる、と若い同僚が言った。去る土曜日、文協の評議員会、総会が開催され、出席者は六十人だった。翌日曜日には老人クラブの芸能祭があり、同会場に千二百人近くを動員した▼千二百人という盛況と鳩や燕の衰退?との因果関係は直接はないが、よほどのことがない限り、鳥たちの原状回復はないとみていい。さびしい現実である。(神)

05/4/29

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