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コラム 樹海

2007年8月11日付け

 大沢愛子さんが亡くなられた。故・大作氏の未亡人であり随筆を好み邦字紙によく投稿されていた。1960年代の前半までにサントスに着いた戦後移民は全員が大沢大作氏のお世話になっている。戦前の外務省勤務から海外移住協会に転じ1954年サンパウロ支部長となり援護協会の設立に大きな功績があった人である。癌に倒れ65年に物故したが、こんな人物について語るのが少なくなったのは寂しい▼日本郵船の移民船で40数日も掛けて荒波を越えてきた移民にとってサントス港に着いたときの心境はまことに複雑である。これは戦前も戦後も同じであって将来への希望と不安が入り混じったものであり不思議な体験といっていい。こうした移民たちのためにと「サントス移民の家」を設置したのも、大沢大作支部長である。古いけれどもとてもいい家だったように記憶している▼今はビルに建て替えて援協の「厚生ホ―ム」になっているけれども、ここにも移民を好きだった大沢精神が生きている。はっきりとは覚えていないのだが、晩年に纏めた「夫婦の寄せ鍋」(?あるいは間違っているかも知れません)は若かりし頃の暮らしや仕事を振り返ったエッセイだったように―脳裡には残っている。尤も、海協連の支部長として3万も4万人もの戦後移民を引き受けてきた大沢大作氏としては、移住振興との合併による「移住事業団」の設立には、幾多の感慨があったのではないか。その事業団も「國際協力機構」になってもう「移住」の文字もなくなってしまい往時茫々である。大沢愛子さん、享年93歳。   (遯)

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