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好評メロン祭り=コチア農学校=あふれた甘い香り

5月10日(火)

 メーデーの五月一日、サンパウロ市近郊のジャカレイ市にあるコチア農業学校で、第四回メロン祭りが開かれた。好天に恵まれ賑わった。メロンは五月八日の『母の日』に合わせて栽培された。トカンチンス州グルピ町でバナナ栽培をしているという早川三郎さん(長野県出身)が「ひとマチ点描」(本紙・四月二十七日付記事)の切り抜きを手に持って、一番乗りで来場した。「メロンは、リオ・グランデ・ド・ノルテ州のモソロで出来るものばかりと思っていたが、新聞でこの祭りを知った。本当に美味しいね」とメロンを買い求めていた。
 会場内では、水産コンサルタントの鴻池竜朗さんの指導により、学校で試験養殖されているピラルクーとチラピアが水槽に入れられて展示され、来場者の興味を誘っていた。
 コチア農業学校の指導を受けているジャカレイ市とサンタ・ブランカ市の「小農の会」が会場の一角で無農薬野菜を共同即売、「売れ行き好調」と喜んでいた。
 日本政府の草の根無償資金の助成で、コチア農学校の正門前に建設された日伯福祉サービス・センターで保育を受けている子供たちが、会場の中央でダンスを踊り、来場者を歓迎して喜ばれた。
 南米五カ国(ボリビア、パラグァイ、チリ、ペルー、ブラジル)の研修生たちは、共同でお国自慢の料理などを披露したり、それぞれの国や郷土を紹介する写真や衣装、手芸品なども展示した。
 メロンを販売する者、来場者に実習農場を案内する者、屋台を担当する者、国と郷土を紹介する者、養殖魚の説明をする者など、自主的に役割分担を決めたようだ。食べ物と飲み物の手配は、学校近くの日系コロニアとブラジル農協婦人部連合会(ADESC)が協力した。 ADESC会員の三好信子さんと岡山県人会でいつも会うという中元たか子さんは「勧められて来た甲斐があったわ」と大喜びだった。
 従来、この国では農産物の大きさだけが消費者の関心で、味は二の次だった。これからは本物の美味しさが追求されるだろう。その意味でこのメロンは本物だ。「入院している知人にはこれを食べて早く元気になってもらいたい」とアチバイアで花栽培を行っている及川君雄さん(岩手県)。
 コチア農業学校での研修の基本は自然との共生だ。メロン栽培を指導している佐々木エジガルドさんは言う。「このメロンは有機堆肥だけで栽培したもので、一〇〇パーセント自然です。研修生たちの積極的な姿勢が天に反映してか、メロンの出来は最高ですよ」と満足顔だった。
 今年はマリアージュという新しい品種が日本から導入された(本紙・二月十八日報道)。情報の効果があってか、マリアージュが最初に売り切れたようだ。『母の日』に日本の味を満喫したママイたちが沢山いたことだろう。

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