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サウーデ=日語教室、生徒は中高年=敵性国語禁止の〃犠牲者〃たち=西本さん、教師30年のベテラン=「歌いながら」の授業

5月13日(金)

 サウーデ文化体育協会(桂川富夫会長)で毎週火曜日午後二時半から四時半まで、中高年を対象とした日本語教室が開かれている。教師は西本国子さん(77)。今年三月から、ボランティアとして同日本語教室を任されている。生徒数は十一人。一九三八年ごろから始まったブラジルでの日本語はじめ敵性国の言葉使用禁止の影響で、学齢期に日本語を学べなかった人々が集まる。
 この教室に通う人々の年代は五十代から七十代。自分の名前の漢字の書き方がわからない人や、ひらがなも書けない人がほとんど。「家庭では必ず日本語を」という習慣を望みながらも日本語禁止という不幸な時代を過ごしてきた。「みんな(生徒)戦争の犠牲者ですよ」。そう西本さんは話す。 
 西本さんは、一九六四年にブラジルに移住し、以後約三十年間日本語教師として子どもたちに教えてきた。
 当時、取り入れていたという歌を使っての授業。同日本語教室でもローマ字表記された『上を向いて歩こう』や『四季の詩』などの歌詞を見ながら歌い、覚えることで日本語を学ぶ。
 また、「あいうえお」などのひらがなも節をつけることで覚えやすくなるという。
 カチア・ルミ・イワカミさんは「親は日本語を話す。自分は日本人の顔をしているのに日本語を話せないのが嫌だ」という理由から教室に通うことに。   「小さい時に日本語をおばあちゃんに教えてもらって、家で少し勉強してたけど話せない」というイレネ・ヒガ・サクマさん。学齢期にそれを十分に勉強できず、日本語使用を認められてから、日本語学校を探してもなかなか見つからなかったそう。
 「みなさんがゆっくりでいいから日本語を思い出しながら学んでくれれば」と西本さんは話した。

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