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移民100周年=締切り迫る記念事業案=県連が意見集約=日系実態調査など5案=15日に祭典協会へ提出

12月12日(金)

 ブラジル日本都道府県人会連合会(中沢宏一会長)は十日、ヴィラ・マリアーナ区の栃木県人会館で会合を開き、締め切りが迫る移民百周年の記念事業について、県連案をまとめた。事前に各県人会から提案されていた家系図の作成を主とする日系人実態調査など五案について、意見集約。十五日の締め切りに合わせて提出する。

 大分や岡山など四県人会が提案した日系人実態調査について、伊東信比古理事が説明した。
 伊東理事は「県人会でも独自に調査しているが、判明率はせいぜい十%程度。百周年を機に全伯で実施しないと、今後チャンスはない」と意義を訴えた。
 案によると、大使館や各地の総領事館などの日本側組織はもちろん、各県人会や全伯各地の日系団体などが一体となって取組む、日系社会全体を網羅する大規模な調査を提案している。さらに日本政府や各都道府県庁、市町村などが持つデータも集約する必要がある、としている。
 調査項目としては、(1)祖父母や父母の来伯年(2)名前と出身地(3)最初の入植地(4)家族構成――など家系図作成に必要な最小限のデータに留める。伊東理事は「あまり細かくしすぎると、調査の手間がかかり対象が狭まる」と説明する。
 実際、笠戸丸で来伯したある沖縄県系人の家族は九十年間で、約百五十人まで広がりを見せたという。
 過去に大分県人会の実態調査で、全伯にある四百の日系団体に郵送による回答を求めた経験を持つ伊東さんは「四百出して、返ってきたのは五通だけ」と困難さを身を持って知っているが、現在はFAXやEメールなど通信事情が充実しているため、全伯的な調査は可能だと見ている。
 このほか福井県人会からは「日伯総合センター」案をベースに、その建設場所をサンパウロ青年図書館理事の天野鉄人氏が所有するリベルダーデ区内の土地にするよう働きかけるべきだ、という提案が出された。
 また、宮城県人会からは、国内の日系学校などでも日本の文部科学省が認定する卒業資格を取得できる制度の創設や、日系社会を名実ともに代表する「ブラジル日本人協会」の設立などが出された。
 独自の発想で提案したのは石川県人会。日本文化の発信拠点をサンパウロ市内に設置し、その支部的な位置づけとして、日本国内でデカセギ労働者を多く抱える浜松市や大泉市などに「日伯学園」を開校。日系ブラジル人子弟の教育問題解決につながるだけでなく、将来的には日本や他国の子弟を受け入れ、日伯両国の文化を理解する人材育成を目指すべき、と位置づけた。
 この日の会合では、いずれの案にも異議がでなかったため、中沢会長は十五日に五案全てを百周年祭典協会へ提出する。

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