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「読者の声」に応えて=本紙に連載した『七人の出稼ぎ』=出版記念会が盛況

5月17日(火)

 山里アウグストさんによる著書『七人の出稼ぎ』の出版記念パーティ(ニッケイ新聞社主催)が、十二日午後六時半からブラジル日本文化協会二階貴賓室で行われた。
 同書は二〇〇二~二〇〇三年にわたり本紙に連載され、話題を集めた小説。二世でバイリンガルの山里さんならではの翻訳ではない日伯両語版が出版された。
 司会進行はオイスカ・ブラジル総局の花田ルイス副会長。高木ラウル・ニッケイ新聞社社長の「本にして欲しいという読者の声が多く、一冊にまとめることになりました。おめでとうございます」という開会の辞で式が始まり、日系社会代表として上原幸啓ブラジル日本文化協会会長、友人代表として野口浩日毎叢書代表らがあいさつ。「日本で働いている多くの兄弟をもっと応援しましょう」と話した。
 また、「父の八十歳となる記念の年にこの本を出版することができて嬉しいです」と、家族代表で娘のマルシア・山里・染谷さん。
 著者である山里アウグストさんは「この本は『おかげさまで』で完成した本。関係者の皆様がいたからこそできた。いちばん感謝しているのは家内です。執筆中、私を支えてくれました」と、感謝の気持ちを表した。
 最後に、中沢宏一県連会長が「ビバ!サウージ!乾杯!」と、祝杯の音頭をとった。
 サントスで生まれ、沖縄語で育った山里さん。日本語、ポルトガル語を習得するには、相当な努力をしたそう。
 「本ができるまで約二年半かかった。本当に本になるには大変なことです。けれども、私は本当にラッキー。バックアップしてくれる人が何人もいた。これからコロニア文学がますます発展していくことを願っている」と話した。
 この日の売り上げ冊数はポルトガル語版百十五冊、日本語版八十五冊、コロニア文学としては上々。スポンサーである久保田喜美子さんは出版の経緯について「すばらしい小説が新聞に載るだけで終わるのはもったいないと思い一年半前から本にして欲しいと頼んでいました。資金でどうにかなるのならと」と説明し、「県人会や婦人会を通して買ってもらいたい」と呼びかけた。
 山里さんは現在、移民百周年に向け、本紙上で以前に連載されていた『東から来た民』の編集を計画している。

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