ホーム | 日系社会ニュース | 移民テーマに写真展=3世飯塚氏=南仏で撮影=「幸せに光当てた」

移民テーマに写真展=3世飯塚氏=南仏で撮影=「幸せに光当てた」

5月31日(火)

 日系ブラジル移民とアフリカ系フランス移民。国は違っても共に新しい天地に向けて海を渡った二つの移民社会の姿を捉えた写真展が三十一日からサンパウロ市で開催される。伯仏両国の民間団体が実施する交流事業の一つで、フランスの写真家によるブラジル日系社会の写真と、ブラジルの写真家が撮影したフランス移民社会の写真を展示する。この写真展にブラジルから、日系カメラマンとして飯塚清秀マルコスさん(43、3世)が出品する。
 「オリャーレス・クルザードス」と名づけられた同展はサンパウロとフランス・プロバンス地方の交流プロジェクト「Sampaca」の一環として開催されるもので、写真展のほか音楽、ブラジル文化に関する討論会などが実施される。
 フランスから出品するムリエル・ジャンビーノさんは昨年、二度にわたって来伯しブラジル日系社会の姿を撮影した。そしてブラジル側のカメラマンとして選ばれたのが飯塚さんだ。五人の日系カメラマンの中から選考により選ばれた飯塚さんは、昨年七月から八月にかけてフランス・マルセイユを訪れ、旧仏植民地のコモレス諸島(現・コモロ連合)から移住したアフリカ系住民の生活をカメラにおさめてきた。
 コモロ連合はインド洋西部、アフリカ大陸とマダガスカル島の間に位置する島国。一九七五年にフランスから独立したが、現在も国は貧困にあえいでいる。
 「日本もコモロも同じ島国。その民族性には共通する点があると思う」と、飯塚さんは語る。「他の国へ移住することは大変に勇気がいることだと思います。様々な理由で国を出て、新しい国で言葉や食事、習慣などの問題を克服しながら新たな生活、仕事や勉強に励んでいる。移民の悲しい部分ではなく、いい部分、彼らの幸せを撮りました。見に来てもらえたら分かってもらえると思います」と写真展に向けた抱負を語った。
 会場はサンパウロ市パウリスタ大通り二〇七三番、コンジュント・ナシオナル内エスパッソ・クルトゥラル。六月十九日まで開催。入場無料。

image_print