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オブジェ、木の魅力=コチアでマリエさん展示会

6月1日(水)

 「木との対話~十五年の成果~」と題した木工芸家フランシス・マリエさんによる個展が、陶芸家鈴木章子さんのアトリエ(Av.Joao Paulo Ablas,330 Granja Viana-Cotia)で五月二十二日から開かれている。初日は雨にもかかわらず、約百五十人がアトリエに訪れた。全て廃材を使用して創作されたオブジェを中心に展示されている。「芸術家の才能を紹介したい」という鈴木さんの思いからアトリエを開放し始め、今回で二回目の展覧会となる。
 今回使用した木は、グアバ、レモン、イッペー、ユーカリ、カフェ、びわ、インブーヤなど約七十種。それぞれ色、木目、形が違い、木そのものの性質を表現した作品が目立つ。
 基本は、ろくろを使って木を削る。そのあとサンドペーパーで磨き、最後はワックスでつやを出す。「虫が喰った部分もデザインのひとつ」と言うように腐り、焦げた木も材料となる。また、主に木の節を使用するので普通の木よりも硬くて重い。その分繊細で扱いにくく、相当な技術がいるそう。
 フランシスさんはフランスで生まれ、八二年に日本に留学。国立文化財研究所で勉強していた。そこで漆に魅せられ、工芸家への道を歩んだ。
 八六年に来伯し、漆の仕事をするが、漆はブラジルの風土に合わなかった。その後、約七年間大工をし、ブラジルの木に出会う。「ブラジルに来てから木の魅力に気づいた」と振り返る。それ以降、現在まで十五年間、木と向き合い、創作し続けてきた。
 「みんなが普通は捨ててしまうような木も、たくさんの可能性がある」。パラナ松など樹脂の多い種類は薄く削るとあめ色に透明感が出てくる。これをヒントに電気スタンドも造ったそう。
 フランシスさんは、木の魅力を「一つの木でも部分によって木目、色も違ってくる。染めなくても自然なあたたかみのある色がたくさん出てくる」と語り、「〝普通〟は好きではない。これからもっと新しいものを探したい」と話した。
 個展は五日まで開催。月曜日から金曜日は午後一時から六時まで。土曜、日曜日は午前十時から午後六時まで。十一日にはイビラプエラ公園のマルキーゼでろくろを使ってデモンストレーションをする予定。

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